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小さな島のJA薬局 健康支え大きな安心 顔なじみ・・・笑顔で会話 薬の宅配サービスも 愛知・日間賀島

日本農業新聞 8月27日(土)7時0分配信

 愛知県の知多半島最南端の師崎港から高速フェリーで10分。三河湾に浮かぶ離島、日間賀島には全国でも珍しいJA直営の薬局がある。漁業と観光が主力の島とJA薬局という意外な組み合わせは、過疎に悩む島民からの強い要望がきっかけで誕生した。島唯一の調剤薬局として、住民の健康を支えている。

 生まれてからずっと島で暮らす北川きん子さん(62)は、ソファで薬を待ちながら薬剤師の鈴木伊代子さん(58)と会話するのが楽しみだ。「わざわざ島外に行かなくても薬を受け取れるし、分からないことも聞けるから本当に助かっているの」と笑顔を見せる。

 ここは、JAあいち知多日間賀島出張所の敷地内にある「アグリス薬局日間賀島店」。道を挟んで反対側にある南知多町が営む日間賀島診療所と共に島民に欠かせない存在だ。薬局内のソファは、診療所が朝から開く火・金曜日は薬を待つ人で埋まるという。

 薬局にはさまざまな人が訪れる。海水浴に来た島外の男性は診察後、水着姿のままやって来た。「スイカ割りしてたら転んで切っちゃって。薬局があって助かった」。鈴木さんから薬を受け取り、家族と店を後にした。

 島は高齢化が進み、処方する薬も高血圧や糖尿病といった生活習慣病など、毎日飲まなければならないものがほとんどだ。それだけに調剤薬局の役割は大きい。鈴木さんは「ほとんどの人は顔と名前が一致する」という強みを生かし、「この前の薬はどうかな」と、コミュニケーションを取りながら処方する。

 坂の多い島では、足腰が弱い高齢者や車を運転できない人は診療所に通うのは難しい。そのため定期的に診療所が往診し、薬局もそれに合わせて薬を届けるサービスを実施している。港近くに住む坂口竹雄さん(93)も、サービスを利用する一人だ。鈴木さんが訪れると「いつもありがとうね」と笑顔になった。

 島民にとってかけがえのないJA薬局。20年前、名古屋市から島に嫁いできた石橋きよみさん(46)は「島外の病院に出掛け、薬をもらうまで待つと1日かかる。ここなら処方箋があれば待たずにもらえるし、本当に心強い。なくさないでほしい」と期待を寄せる。

 同出張所は戦後発足した日間賀島農協がルーツ。薬局は2002年に誕生。島には診療所はあったものの調剤薬局がなく、島民の要望にJAが応え、地域貢献の一環として13年からJAが運営している。(市来丈)

日本農業新聞

最終更新:8月27日(土)7時0分

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