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スーツケース生脱出にバク宙まで!? 大竹しのぶが大女優すぎる『後妻業の女』

dmenu映画 8月27日(土)11時30分配信

文=鈴木元/Avanti Press

女優・大竹しのぶがあらためて、その“凄み”を見せつけた主演映画『後妻業の女』(8月27日公開)。

役どころは、資産を持つ高齢男性と結婚を繰り返し、夫の死や行方不明を機に金品をせしめていく後妻業の女・小夜子。直木賞作家・黒川博行氏の「後妻業」が原作で、テレビドラマ界の巨匠・鶴橋康夫監督は一読した時点で大竹をイメージし、実に16年ぶりのタッグが実現した。だが、当の本人は「原作は70歳近いおばあさんだし、なんでだろうと思いました。失礼な。16年ぶりに一緒にする仕事がこれか、みたいな」と毒づく。

そうは言っても、その存在感は圧倒的。熟年の婚活パーティで「私、尽すタイプやと思います」としなを作る。上目遣いに見つめられると、スクリーン越しであってもドキッとさせられる色香。こりゃあ、津川雅彦を筆頭に伊武雅刀、六平直政らそうそうたる顔ぶれが骨抜きにされるのも無理はないと、妙に納得する説得力だ。

一転、夫が他界すれば生前に公正証書を書かせておく巧妙な手口で、遺族に「遺産はすべて、私が相続します」と言ってのけるしたたかさ。男性から見れば女性の強さ、したたかさを思い知らされること請け合いだが、行っていることは間違いなく犯罪。にもかかわらず、女性が見ると勇気をもらえるのではないか。大竹しのぶは、誰もが認める演技力でそう錯覚させるほど、“大人の寓話”にリアリティをもたらしている。

極め付きは、閉じ込められたスーツケースから大竹が自力で脱出するシーン。絶対に吹き替えだと思っていたが、「そう思うんだね。ちゃんと(カギを締めて)入れました」と鶴橋監督。エスパー伊東も真っ青である。目の前にいた“相方”で結婚相談所所長・豊川悦司が、「どんな顔で出てくるのか想像できなかったので、大竹さんを見て自然に出てきた表情。今までの積み重ねはこのためにあったんだという感じです」という、なんともいえない間の抜けた顔も必見だ。

新藤兼人監督の『石内尋常高等小学校 花は散れども』『一枚のハガキ』に続く3度目の共演だけに気心も知れている豊川は、「何でもできますよ、この人。バク宙だろうが、500メートルの崖から飛び降りろと言われようが。僕が大竹さんに一番もらっているなと思うのは、どんな芝居でもどうきてもいいわよ、好きにやりなさいという安心感」と最敬礼する。

大竹も、「やれと言われれば。ここにも入れるかもしれない」と手元の紙コップを指さしたが、あながち冗談に聞こえないのがすごいと思える所以だろう。豊川がつけたあだ名「ブラックホールしのぶ」には、「ひどい。これでまた、私の評判が……」と疑義を呈したものの、まんざらでもない様子だ。

ただ、これほどの演技力がフジテレビ『とんねるずのみなさんのおかげでした』の人気コーナー「食わず嫌い王決定戦」で発揮されないのが不思議でならない。6戦6敗で「最弱王」に君臨。これもまた大竹の魅力というか、底知れなさなのかもしれない。

dmenu映画

最終更新:8月27日(土)11時30分

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TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。