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MRJ、米国に向け飛び立つも空調トラブルで引き返す。改めてどんな航空機かを検証

ニュースイッチ 8月27日(土)15時54分配信

燃費で優位も、部品の約7割を海外製に頼る

 国産初の小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」が27日午前11時46分ごろ、愛知県営名古屋空港(同県豊山町)を離陸、飛行試験を行う米国に向けて出発した。しかし、太平洋上を飛行中、空調システムのトラブルがあることがわかったため引き返し、約1時間後に同空港に着陸した。

 三菱航空機(愛知県豊山町、森本浩通社長)は月内にも米国シアトル郊外の空港に機体を移し、飛行試験を始める予定だった。米国への飛行は28日以降に持ち越しになる見通し。すでに当初の計画より大幅に納期が遅れており、2018年半ばのANAホールディングスへの量産初号機納入に向け懸命の努力が続く。MRJとはどんな航空機か、改めて検証する。

 MRJは開発当初から高い燃費性能を売りにしている。その切り札が、航空エンジン世界大手の米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)が供給する最新鋭エンジン「PW1200G」だ。

 同じ軸で回るタービンとファンの間に遊星ギアを入れる「ギアド・ターボファン(GTF)」方式を採用。軸の回転を減速してファン側に伝え、タービンとファンのそれぞれが最も効率的なスピードで回るようにした。これにより騒音、燃費とも大幅に削減する。

 MRJは旅客機としては世界で初めて08年にGTFの採用を決定。その後、カナダ・ボンバルディアや欧エアバスの航空機が採用したほか、MRJと競合するブラジル・エンブラエルも既存機のエンジンをGTFに置き換えることを決めた。

  MRJの初飛行の遅れによって、新エンジンによる燃費性能の優位性は薄れた。それでもMRJの燃費の良さの半分はエンジン、もう半分は機体の形状によってもたらされている。

 GTFは現行のエンジンよりも空気を取り入れるファンの直径が大きい。このため主翼の下に広いスペースが必要だ。MRJは主翼とエンジン、ナセル(エンジンを覆うカバー)の最適な位置関係を探りつつエンジンを主翼の真下ではなく、機体前方寄りに配置した。ほかにも、機体前方下部の貨物室を機体後部に統合し、他の航空機より細く空気抵抗の少ない胴体を実現。シャープで美しい機体だ。

 一方で、装備品は実績のある海外製を多く搭載している。「航空機の頭脳」とも言われる操縦用電子機器(アビオニクス)をはじめ、空調や油圧機器から内装品に至るまで、コストベースで部品の約7割が海外製だ。

 こうした海外メーカーは米ボーイングや欧エアバスをはじめ世界の航空機メーカーにも同様の部品を供給、民間機向け装備品市場は寡占化の傾向すらある。日本にはこれらの装備品産業が十分に育っておらず、今後、日本の航空機産業が参入分野を増やしていく上での壁になっている。

最終更新:8月27日(土)15時54分

ニュースイッチ