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麻薬戦争や国連脱退発言「フィリピンのトランプ」過激な政策は真意なのか?

THE PAGE 8月28日(日)15時0分配信

 5月にフィリピンで行われた大統領選挙で圧勝した前ダバオ市市長のロドリゴ・ドゥテルテが、6月30日に同国の第16代大統領に就任した。選挙期間中には過激な発言がたびたび国内外のメディアに取り上げられたが、大統領に就任後は過激な発言を控えるようになったとも伝えられるドゥテルテ大統領。しかし、大統領就任前から公言していた「麻薬に関わる者は、密売人でも使用者でも容赦しない」という政治姿勢は現在も変わっておらず、大統領就任から2か月足らずの間に約1900人が警察によって殺害された可能性が浮上。加えて、これまで南シナ海問題で緊張状態にあった中国への接近も指摘されており、今年3月にフィリピン国内の5か所を軍事基地として使用する協定を結んだアメリカにとって、ドゥテルテ政権の動きは頭の痛い問題になりつつある。

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ドゥテルテ大統領とはどんな人物?

 過激な発言が日本でも報じられたドゥテルテ大統領は、今年のアメリカ大統領選挙で共和党から指名を受けたドナルド・トランプ氏と比較されることが少なくない。7月には「テロリズムを作り出したのはアメリカとイギリスだ」と発言。今月初めには駐フィリピン米大使は同性愛者だとテレビで揶揄(やゆ)し、ワシントンの米国務省がフィリピン大使館の特命全権公使を呼び出し抗議する騒動に発展している。

 選挙戦真っただ中の4月に地元ダバオで行った集会では、1989年にダバオの刑務所で発生した囚人による籠城事件について言及。この事件では慰問のために刑務所を訪れていたキリスト教系団体のメンバー15人が人質となり、警察が突入する前に5人が殺害されたのだが、犠牲者の1人はオーストラリア人女性で、殺害前に繰り返し性的暴行を受けていた。ドゥテルテ候補(当時)は「彼女がレイプされたことには怒りを覚えるが、そうなった原因は彼女が美しかったためだ」と発言し、国内外から批判を浴びている。

 「舌禍」という部分でトランプ氏との類似点が指摘されるドゥテルテ大統領だが、政界におけるキャリアの長さでは、政治経験ゼロのトランプ氏とは大きく異なる経歴の持ち主だ。幼少期に家族と共にフィリピン南部のミンダナオ島に移り住んだ。弁護士だった父親のビセンテ・ドゥテルテは1959年から1965年までミンダナオ東部にあったダバオ州(1967年に廃止)の知事を務めた人物で、ロースクールを卒業した息子のドゥテルテは1970年代後半から地元のダバオ市で検察官としてのキャリアをスタートさせた。

 1988年2月から今年6月までの約28年の間に、ドゥテルテ氏はダバオ市長を7期務めている。フィリピンの法律では首長は連続して4期目を務めることができないため、3期・3期・1期という形でダバオ政界のトップに君臨した。ドゥテルテ時代のダバオ市で最も評価され、同時に最も議論を呼んだ政策が市内の治安改善であった。

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最終更新:8月28日(日)15時0分

THE PAGE