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私学補助金、実際どれくらい家計にインパクト?FPが検証してみた

ZUU online 8月28日(日)9時40分配信

年々激化する中学校受験。中学校から私立に行くとなれば教育費の負担は大きくのしかかるが、中学校受験を希望する家庭が増えているのが実情だ。

この受験戦争、来年から少し風向きが変わるかもしれない。政府が、一定の年収未満の世帯も学費の高い私立中学校を選択できるように、授業料の補助を来年度の予算の概算要求に入れるというのだ。年間10~14万円、正直何が変わるのだろうか。

■補助金は年収590万円未満の世帯から

授業料の補助金が受けられる対象は、2017年度入学する児童・生徒がいる年収590万円未満の世帯。年間1人当たりの補助額は、世帯年収が250万円未満は14万円、250万円以上350万円未満は12万円、350万円以上590万円未満は10万円を補助するべく、2017年度予算の概算要求に12億8000万円盛り込む。

学校に申請後、授業料から補助額を差し引いた金額を支払うというものだ。私立高校の授業料を一部補助する制度はあるが、私立小・中学校の補助制度は初めてとなる。文科省は私立小中学校に通う世帯の負担を軽減することを目的としているが、年間10万~14万円の補助額はどれくらい影響があるのだろうか。

■実際に私学に子供を進学させている世帯年収は?

筆者のもとにマネー相談にきた中で、子供を私立中学に進学させている方々の世帯年収を紹介しよう。

Aさんの世帯年収は750万円。1歳違いの子供が2人いるが、2人とも私立中学に進学させている。第一子の中学校入学前に住宅ローンを完済していることで、年間かかる教育費用はやりくりできていた。

Bさんの世帯年収1500万円で同じく子供が2人いるが、第一子の長男は小学校から私立に通わせ、第二子の長女は公立小学校に進学させていた。学費もだが、塾代にかかるお金、また意外と馬鹿にできないのが長男のママ友とのランチ代、ランチに着ていく洋服代、バック代などにかける支出が多いのだ。子供2人を私立小学校に通わせる余裕はないという。

相談を受けていると、世帯年収1000万円以上など、年収が上がるにつれて小学校受験、中学校受験を検討する世帯は多い。

■私学に進学させるのにどのくらいの金額が必要か

私立小学校、私立中学校それぞれにかかる費用を文部科学省の平成26年度「子供の学習費調査」よりみてみよう。

◎私立小学校
1年間の授業料はじめ、修学旅行、遠足、給食費、教材費、通学費な学校にかかる教育費は88万5639円になる。ほかに学校給食費が4万6089円、習い事や塾代などの学校外活動費は60万4061円となり、学習費総額は153万5789円となる。公立小学校に比べると学習費の差は4.8倍となる。

◎私立中学校
私立中学校では、学校教育費は102万2397円、学校給食費は4154円、学校外活動費は31万2072円となり学習費総額は133万8623円となり、公立中学校に比べると学習費総額の差は2.8倍かっている。

私立小学校、私立中学校ともに授業料などは、学校によっても金額の幅がある。

たとえば都内にある私立の授業料を参考にみてみると、八王子実践の25万2000円から玉川学園中学部(IBクラス)の131万3000円と100万円以上、授業料に差がある(参考元:東京都「平成28年度 都内私立中学校の学費の状況」より)。どの学校に進学するかによって、学費の負担の差は大きいことがわかる。進学に必要な金額は進学する学校によっても異なるため、志望校を選ぶ際に学校のホームページでかかる費用を早目に確認しておきたい。

私立小学校・私立中学校の受験は学費がかかることはもちろんのこと、入学前の塾代などの費用も多くかかる。中学受験であれば、一般的には小学校4年生から3年間、塾に通うことになる。塾は毎月の授業料、教材費、春・夏・冬休みにある季節講習、模試代などがかかってくる。ある都内大手進学塾の授業料を参考にみてみると、国語・算数・理科・社会の4科目の毎月の授業料は4年生2万5400円、5年生3万9600円、6年生4万700円となる。これに加え教材費、季節講習費、模試代を含めると塾代だけでも3年間で軽く200万円は超える。

■補助金が出た場合のインパクト

2015年5月時点で、補助金の対象となる年収590万円未満の世帯の私立小中学生(特別支援額含む)の人数は推計約4万人である。補助金が出たとしたら、どれだけ家計にインパクトがあるのかモデルケースを見ながら検証してみた。

◎モデルケース 
世帯年収500万円(平均手取り月額32万円)
妻専業主婦 
子供1人(長男2017年度私立中学入学予定)

◎月の支出
生活費12万円
住宅ローン10万円
授業料7万円

世帯年収500万円であれば、補助額は年間10万円で、月平均約8300円となる。

もちろん、補助額はないよりは貰える方がありがたいが、家計に対してのインパクトは大きくはない。補助額を貰えることで、経済的に私学を断念していた世帯が、私学を選択しやすくなる世帯が増えるかというと影響力は低い。つまり補助額により、中学受験戦争が激化することは考えにくい。

この程度の補助ではあまり影響がなく、むしろ政府は使い方をよく考えたほうが良いのではないだろうか。

今関 倫子 ファイナンシャル・プランナー (AFP)
外資系保険会社勤務中にファイナンシャル・プランナー(FP)を目指し、AFP(日本FP協会認定)資格取得後、独立系FP事務所に転職。女性を中心に年間のべ200件以上のマネー相談を受け、多くの経験を経て独立。個人マネー相談、執筆、マネーセミナーを中心に活動中。FP Cafe登録FP。

最終更新:8月28日(日)9時40分

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