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【インタビュー】ソドム「『ディシジョン・デイ』はベストのアルバムだと言われている」

BARKS 8月29日(月)12時47分配信

ドイツを代表するスラッシュ・メタル・バンドのソドムが、オリジナル・フル・アルバムとしては通算14枚目のアルバム『ディシジョン・デイ』を完成させ、8月19日に日本先行で発売された。第二次世界大戦時の連合国軍によるノルマンディー上陸作戦の決行日“D-Day”をタイトルにしたこの新作は、音楽的にも歌詞の面でもSODOMらしさを十二分に感じさせると共に、近作と比べても多種多様な内容をともなうものとなっている。トム・エンジェルリッパー(Vo、B)に話を訊いた。

◆ソドム画像

――新作『ディシジョン・デイ』が完成しました。仕上がりには満足していますか?

トム・エンジェルリッパー:ああ、凄く満足している。このところかなり試聴してもらっているんだが、とても評判が良い。大勢の人達から、これまででベストのアルバムだと言われているよ。まあ、俺にとってはただのSODOMの新しいアルバムだ。これまでにリリースしたものも全部気に入っているから。だが、このアルバムは、35年間やってきたバンドをそのまま反映しているのは間違いない。それにプロダクションも曲も全部、凄く満足できるものになっているよ。

――前作『EPITOME OF TORTURE』は日本ではリリースされず、日本のファンは輸入盤で買うことになりました。こちらで正式リリースされなかったことについて何かご存知ですか?

トム・エンジェルリッパー:いや、俺にはわからない。レコード会社が決めることだから。ビジネスとはそういうものだ(苦笑)。新しいアルバムが日本でもリリースされることになって俺達は喜んでいるよ。日本のファンがヨーロッパから輸入盤を買うとなると値段が上がることは俺達も知っているんだが、それがビジネス上の判断というものだから。

――ともあれ、日本リリースがなかったですが、<THRASH DOMINATION 2015>に出演してくれたのは良かったです。2009年と2015年にあのフェスティヴァルに出ていますが、あなたにとって<THRASH DOMINATION>は快適ですか?

トム・エンジェルリッパー:ああ、すべてが完璧だったし、出演したバンドも全部最高だった。それにスラッシュ・バンドだけがプレイするというのが俺は気に入っている。色々と混ざってはいない。スラッシュ・メタルやヘヴィな音楽だけが好きだというファンは大勢いる。俺達もとても快適に感じるよ。日本にいる時はいつもそうだ。俺達は1991年に初めて日本に行って以来いつも最高に楽しんでいる。いつも戻る努力をしているよ。今回の新しいアルバムのリリースで、今回は複数回のショウをやるチャンスも生まれるかもしれない。1回だけでなく、3回、4回と。ブッキング・エージェンシーともそういうアイディアを伝えて話をしている。とにかく、日本のファンの皆がこれほど誠実にこのバンドをサポートし続けてくれていることが本当に嬉しい。凄いことだよ。

――新作『DECISION DAY』は、ドラマーとしてマーカス“マッカ”フライヴァルドが加わってから2枚目のアルバムです。彼はすっかりバンドに馴染んでいますか?

トム・エンジェルリッパー:ああ、彼は素晴らしいよ。マッカは何年もの間、あらゆるタイプの音楽をプレイしてきた。DESPAIRでスタートしてKREATORのツアーでもプレイしている。それに本当にナイスガイだ。俺にとって彼はベスト・ジャーマン・ドラマーだよ。ボビーが脱退して、新しいドラマーを見つけなくてはいけなくなった時、マッカに連絡したら、彼は「SODOMでプレイできるなんて最高だ」と言ってくれた。というのも、彼にとって、バンドの一員として一緒にリハーサル・ルームで曲を書くチャンスはこれが最初だからだ。今回の新しいアルバムでも、彼は素晴らしい仕事をしたよ。プロデューサーはマッカに「お前は凄く上手いドラマーだ。(クリス)ウィッチハンター(元SODOMのドラマー/故人)もカルト的な支持を得たドラマーだった。だから、タムやドラム・フィルなどでウィッチハンターのようなものも加えてみよう」と言った。それでマッカはウィッチハンターがやったことを反映させたプレイも試している。ウィッチハンターのようなドラミングが、今はマッカの優れた演奏力で実践されたような形になっているね。そして、2人の老人、つまりベルネマンと俺がステージの前方にいて、後ろから俺達よりずっと若いドラマーから尻を蹴り上げられる状態になっているのさ。

――アルバム用の曲作りは、2015年に日本に来た時点では既に始めていたのだとか?

トム・エンジェルリッパー:ああ、80%は終わっていたよ。俺達は、アルバムを1枚作り終えたら、少し休みを取り、またリハーサル・ルームに入って新たに曲作りを始めるんだ。俺達はいつも何かをやっている。ショウも沢山やりつつ、時間があればリハーサル・ルームで何かを書いている。ベルネマンは家でギター・リフの良いアイディアとかを思いついたら、それを持ってくる。だから俺達はいつだって新しい曲を書き始められるようになっている。『EPITOME OF TORTURE』の後も、俺達は短い休みを取った後、曲作りを始めたよ。そして全部を集めていった。俺は歌詞を書き始めて仕上げていった。ほら、最初の頃は、俺達はアルバムを毎年リリースしていたからね。今のやり方はそうではない。2年か3年の間隔を空けてアルバムをリリースすることになっているし、レコード会社からの提案も待たなくてはいけない。レコード会社から「新しいアルバムをそろそろ作ろう」と言われる必要もあるんだ。

――前々作『IN WAR AND PIECES』、前作『EPITOME OF TORTURE』と比べると、基本的には同一路線にある仕上がりだと思いましたが、それらの2枚と比べるとスピーディーでアグレッシヴな曲やパートが増えている点が特徴かもしれません。曲作りの面で、いつも以上にアグレッシヴなモードにあったと言えますか?

トム・エンジェルリッパー:いや、曲を書き始める時にはそんなことも全く考えていない。俺達はただジャム・セッションを始めるだけで、もっとアグレッシヴな曲をやろうとか、もっとメロディックな曲をやろうとか、そんなことは一切話さない。時には、前もってベルネマンがギター・リフを書いてあったり、俺が歌詞のアイディアを思いついていたりすることはある。そういう時は歌詞をリハーサル・ルームに持っていくだけだ。そもそもSODOMはアグレッシヴなバンドだよ。『OBSESSED BY CRUELTY』(1986年)のようなパートもあると言われたこともあるが、『OBSESSED BY CRUELTY』のような曲を作ろうと考えたりはしなかった。ただジャミングを始めて、曲を書いていっただけだ。アグレッシヴかどうかは関係なかった。

――タイトルを見ただけで、歌詞の面でも多彩であることがうかがえます。各曲のテーマを簡単で結構ですので説明してください。

トム・エンジェルリッパー:ああ、歌詞を書き始める時、俺はいつも今の世界の状況にインスパイアされている。世界中で恐ろしいことが起こっていて、全部TVで観ることができる。テロリズムも何もかも。俺は次の世界大戦を凄く恐れている。だから、それについて書かずにはいられない。バンドにも話をするよ。この曲ではこのことについて書きたいと。それから「歌詞を書くなら送ってくれ」と言ってくれる英語教師の知り合いがいる。間違いを直してくれるんだ。そして「Vaginal Born Evil」という曲に対して彼は「こういう言い方はできない」と言った(笑)。理由を訊いたら「evilは総ての人間の中にあるし、殆どの人間は膣から生まれてくるんだから、何故こういう表現にしたいんだ?」と言った。俺は「新聞記事を書くつもりはない、俺は歌詞を書くんだ」と言っておいたよ。俺は生きることのすべてからたくさんのインスピレーションを得ている。「Caligula」は、誰もが知っている人物について書いたものだが、1979年の映画(註:実際の公開は1980年)にインスパイアされたものだ。歴史的な人物のカリギュラだ。俺はいつも歴史に興味がある。何について書こうかと、常に考えている。だが、今俺達が生きている世界の状況は悪夢だ。俺は時々、夜中に目を覚ますことがある。悪夢を見て、恐ろしくて、それについて書かなくてはいられないんだ。

――他にもいくつかの曲について題材を教えてください。

トム・エンジェルリッパー:いいよ。「In Retribution」は、世界で起こっていることだ。TVのニュース番組を観ていても、すべては伝えられていない。政治に興味があれば…例えばアメリカやNATOが最大級の兵力を既にヨーロッパの東の境界に配備していることを知っているだろうか? 一体何をやるつもりだ? そこで彼らは何をやっている? 俺は凄く怖くなるよ。そういう状況が手に負えなくなるのではないか。ロシアはプーチンが大統領だし、アメリカの大統領にはドナルド・トランプがなるかもしれない。その結果、どういうことが起こるんだろう。俺は凄く怖くなるよ。自分のことで怖くなるのではなくて、子供達や次の世代のために、これから20年後、30年後の人類のことを思うと怖くなるんだ。それが、俺がいつも恐ろしいと思っていることで、歌詞に書かずにはいられないことなんだ。「Vaginal Born Evil」は、さっきちょっと話した曲だ。すべての人間の中に悪はある。テロ攻撃は毎日起こっている。フランスでは銃を手にしが誰かが50人、100人くらいを殺した。一体どういうことだ? 人間が他の人間をそんなに大勢撃てるなんて。罪のない人々を。コンサートに行って、楽しんでいる人々を殺したんだ。俺には永遠に理解できないだろう。それが「Vaginal Born Evil」の内容だ。「Refused To Die」はエクソシズム(悪魔払い)に関係がある。悪魔払いは今でも教会で実践されている。今の悪魔払いについてのドキュメンタリーを見たんだが、昔と何も変わっていない。対象となっているのは悪魔に取り憑かれたと言われている人々だが、俺の意見としては、邪悪なものや悪魔に取り憑かれてはいない。病気の一種だよ。身体的なトラブルであって、内側に悪魔がいるわけじゃない。「Decision Day」は連合国軍による第二次世界大戦中の(ノルマンディー上陸)作戦の決行日のことだが、この決行日というのは、今やいつでも起こり得ると思う。次の決行日は…もしかしたら第三次世界大戦の開始の日かもしれない。ここで言っているのは過去のD-Dayのことだけじゃない。次のD-Dayというのは、今後いつ来るかもしれないんだ。

――7月中旬現在、バンドは休暇中で、あなたは新作のプロモーションを行なっています。2017年は『DECISION DAY』にともなうツアーで忙しくなりそうですね。

トム・エンジェルリッパー:ああ、そうなるはずだ。そうならないといけない。日本に戻れることも期待しているよ。俺が決められることではないし、ブッキング・エージェンシーに連絡をしなくてはいけないが、次は日本で何回かショウがやれたら嬉しいね。2回か3回のショウを。移動時間が長いからな。俺は移動が大嫌いでね。空港も大嫌いだし飛行機に乗るのも大嫌いだ(笑)。だがステージの上にいる時間は最高だ。日本には長く飛行機に乗って行くんだから、ショウの数を増やしてもいいじゃないか。

取材・文:奥野高久

ソドム『ディシジョン・デイ』
2016年8月19日日本先行発売
【初回限定盤CD+ライヴDVD】¥3,500円+税
【通常盤CD】¥2,500円+税
※日本盤限定ボーナストラック収録日本語解説書封入歌詞対訳付き日本語字幕付き
1.イン・リトリビューション
2.ローリング・サンダー
3.ディシジョン・デイ
4.カリギュラ
5.フー・イズ・ゴッド?
6.ストレンジ・ロスト・ワールド
7.ヴァジャイナル・ボーン・イーヴル
8.ベリジェレンス
9.ブラッド・ライオンズ
10.セイクレッド・ウォーパス
11.リフューズド・トゥ・ダイ
12.プレデトリー・インスティンクト(日本盤限定ボーナストラック)
DVD<2015年3月22日 THRASH DOMINATION>
1.マイ・ファイナル・ブレット
2.アウトブレイク・オブ・イーヴル
3.サーフィン・バードザ・ソウ・イズ・ザ・ロウ
4.M-16
5.ニュークリア・ウィンター

【メンバー】
トム・エンジェルリッパー(ベースヴォーカル)
ベルネマン(ギター)
マーカス“マッカ”フライヴァルド(ドラムス)

最終更新:8月29日(月)12時47分

BARKS

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。