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京都の産学官が進める次世代半導体開発、いよいよ実用段階に

日刊工業新聞電子版 8/28(日) 15:03配信

SiCで蓄電システムを実証

 京都の産学官が連携して開発を進める炭化ケイ素(SiC)半導体パワーデバイスが、実用化の段階に入ってきた。科学技術振興機構(JST)が進める「京都地域スーパークラスタープログラム」を通じ、アイケイエス(京都市中京区、今井尊史社長)が開発した蓄電システムもその一つ。京都市が実証事業の一環として京都市勧業館「みやこめっせ」(京都市左京区)に同システムを導入するなど、SiC半導体の普及への道が開けてきた。

 同クラスターは京都高度技術研究所が中核機関。このほか京都大学など大学や京都府・市、公設試験研究機関、企業が連携してSiCの研究を進めている。アイケイエスは中小企業としては唯一、2013年のスタート時から参加した。

 すでに同クラスターから成果も出始めているが、アイケイエスは蓄電システム「マイクロ・スマートグリッド統合システム アイデンコン」を開発。実用化でリードしている。

 同システムは太陽光発電や電気自動車(EV)充電器などの複数の電源からの電力を直流で一括制御する統合型の蓄電システムだ。従来は各電源からの電力を個別に制御していたが、一括制御により系統電力との接続に必要な交流への変換も一本化し、変換効率を引き上げた。この変換にシリコン(Si)半導体よりも高効率なSiC半導体を採用したことで「他社の従来品と比べて電力損失量を約73%も削減できた」(今井社長)という。

 みやこめっせがある京都・岡崎地域は、地域エネルギー管理システム(CEMS)の実証事業の地域。太陽光発電やEV充電器などに加えて、この春から新たにアイケイエスの蓄電システムを導入し、災害時の非常用電源などとして実証を始めた。

 今後1年間かけて詳細にデータを分析し、省エネ効果などを数字で示す。効果的だと判断されれば「京都市動物園など、同じCEMS内にある他施設との電力融通なども検討対象になりうる」(京都市産業観光局新産業振興室の原田規之課長)。

 SiC半導体の最大の課題はコスト。大手企業による応用は進みつつあるが、市場の裾野を広げるには中小企業の参画が欠かせない。クラスターの狙いの一つも中小企業による応用製品開発を加速させることにある。行政の後押しも加わり、京都発でSiC産業が立ち上がりつつある。

最終更新:8/28(日) 15:03

日刊工業新聞電子版