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「夜尿症は治りにくい」の誤解。いじめや劣等感の始まりにならないために

ニュースイッチ 8月28日(日)12時5分配信

12年ぶりに診察ガイドライン改訂。治癒までの期間短縮がカギ

 おねしょを小学校入学前後になってもしてしまう夜尿症。国内の患児78万人の中で医療機関を受診しているのは16万人、そのうち治療を受けているのは4万人にすぎないとの推計がある。こうした中で7月、夜尿症診療ガイドラインが12年ぶりに改定された。適切な治療を施せば早く治るという認識が、生活者や開業医へも広がることが期待されている。

 「夜尿症は放っておけば治るから治療しない、という考え方が今も主流。ガイドラインを改定した一番の意義は、治せる病気であるということだ」。関西医科大学小児科学教室の金子一成主任教授は、こう力を込める。

 5歳以上の小児で、1カ月に1回以上の夜尿が3カ月以上続いた場合が夜尿症とみなされる。有病率は5歳で約15%、10歳では5%程度。1年間の自然治癒率は15―17%だが、治療をすると同じ1年で半数ほどが治るという。金子主任教授は「夜尿症の子は宿泊行事に行けず、いじめや劣等感の始まりになることが多い」とし、治癒までの期間の短縮が必要だと指摘する。

 ただ、日本夜尿症学会の会員である専門医は約450人。このため開業医が患児を診る事例も多い。ガイドライン改定には「対応が厄介でやりにくい病気、という印象を払拭(ふっしょく)したい」(金子主任教授)との狙いもある。

 ガイドラインでは尿量調節薬「デスモプレシン(一般名)」の服用か、下着が尿でぬれたことを検知して音で知らせるアラーム療法の利用が第一選択とされた。同療法は排尿を気づかせてトイレに行くか我慢ができるようにする行動療法の一種で、大きな効果が出る事例もあるという。医療機関には患児や家族の状況に応じた対処をすることが求められている。

【専門医の見方】
 夜尿症について家庭内でいろいろ悩み、勇気を出して医療機関を受診する家族が多い。だが一般的な誠意ある医師でも「成長と共に自然と治ります、様子を見ましょう」と言うことが珍しくない。その時点で保護者は落胆し、治療を受けられなかった実例もある。ガイドライン改定前は泌尿器科・小児科・精神科などの先生の間で必ずしも統一見解がなく、自信をもって診療を推奨できていなかったのかもしれない。
(自治医科大学小児泌尿器科教授・中井秀郎氏)
治療では生活習慣の見直しが土台として非常に大事。お子さんの2―3割がこれだけで治るというデータもある。具体的には規則正しい生活をし、塩分を控えるなどだ。寝る前にトイレへ行くのも当然だが、疲れて帰って食事してバタン、という子供も時々いる。生活習慣の見直しをせずに治療へ入っても効果があがりにくい。(談)

最終更新:8月28日(日)12時5分

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