ここから本文です

ヨット世界一周 過酷なレースへ

カナロコ by 神奈川新聞 8月28日(日)11時5分配信

 11月にフランスからスタートする世界一周ヨットレース「バンデ・グローブ」に、海洋冒険家の白石康次郎さん(49)=鎌倉市=が出場する。単独、無寄港、無補給がルールで、「世界で最も過酷」と言われる同レースへの参加はアジア人で初めて。ヨットの世界に入ってから30年、憧れ続けた夢の舞台に挑む。

 バンデ・グローブは、4年に1度開催され、今年で8回目。仏西部バンデ県を出港して大西洋を南下し、インド洋、南太平洋、南米大陸と南極大陸の間の海峡を抜けて、再びフランスに戻るコースを取る。

 総航行距離は、南半球1周分に相当する約4万8千キロ。通常、10人ほどで操縦する全長約18メートルの大型ヨットに一人で乗り、80日間ほど走り続ける。

 幼いころから鎌倉の海を眺めて育った白石さん。「いつか船で世界を巡りたい」と思いをはせていた。県立三崎水産高校(現・県立海洋科学高校)に在学中、単独世界一周ヨットレースで故・多田雄幸さんが優勝したニュースを聞いた。電話帳で自宅の番号を調べて、弟子入りをした。

 やがて、当時は構想段階だったバンデ・グローブの話を師匠から聞いた。ノンストップで世界一周をする挑戦に胸が躍った。数々の大会で記録を残しながら夢見てきた出場に、資金難を乗り越えてたどり着いた。

 レースでは、他人のサポートを受けることが禁じられている。船のマストが壊れたら自分で修理をしなければならない。傷を負えば、船に積んだ手術道具を使って自身で縫い合わせる。前回の大会では、出場した20艇中、ゴールにたどり着いたのは11艇だった。

 初出場の目標を「完走」と定めて、好奇心を原動力にレースに向かう。三浦市内などで開いている海や自然に触れ合う教室で、子どもに挑戦の意義を伝えたいからだ。

 「実は船酔いが激しくて苦しむけれど、青い海と港の人の温かさに触れると、やってよかったと思える。日本の子どもたちに僕の幸せな背中を見せてあげたい」

最終更新:8月28日(日)11時5分

カナロコ by 神奈川新聞