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繊細な世界観、詩紡ぐ 活動半世紀、CD制作も 

カナロコ by 神奈川新聞 8月28日(日)12時0分配信

 重度障害で車いす生活を送りながら、詩の創作活動を半世紀ほど続ける女性が横須賀にいる。障害者支援施設「シャローム浦上台」(同市浦上台)に入所する沼田ユキエさん(69)。小さな子どもの視点で語られる繊細な世界観が、世代を超えて多くの人を魅了している。

 三浦市生まれの沼田さんは、0歳のときに脳性まひと診断とされた。21歳で施設に入所し、「詩作クラブ」で創作活動を始めた。

 15年ほど前にシャローム浦上台に移ってきた。昨年は、アジサイの花と車いすの少女を描いた詩が、同施設を運営する社会福祉法人の広報誌の表紙を飾った。今年6月には、障害者向けのコンサートで縁があった音楽アーティストのRyutaさんが沼田さんの詩に合わせて作曲、CDが制作されるなど、活躍の幅を広げている。

 過去に入所していた施設で「心の美しき詩人」と呼ばれていたという沼田さん。同施設職員の遠藤智子さん(44)は、「沼田さんが幼かったころは、障害者に対する差別が強かった時代。閉ざされた世界で過ごし、ピュアな部分が凍結されたままなのでは」と話す。

 周囲を驚かせる不思議なエピソードも多い。昨年9月、施設のコンサートに訪れたバイオリン奏者に「秋の虫と音楽とチョコレート」と題した詩を即興で作って贈った。沼田さん自身は食べたこともないチョコレートは、実はバイオリン奏者の大好物だったのだ。

 「おなかの中に、女の子と男の子の友達がいて、その言葉を伝えてるの」と沼田さん。口から紡がれた言葉は、施設職員が丁寧に書き取っている。

 施設では、ハンドベルクラブにも所属。9月に行われる音楽会では、Ryutaさんとの共演も果たす予定だ。

最終更新:8月28日(日)12時0分

カナロコ by 神奈川新聞