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[インタビュー]101歳で現役、灸の伝道師「自分が健康の見本」

ハンギョレ新聞 8月28日(日)12時57分配信

無極補養灸センター 灸堂・キム・ナムスさん

「鍼灸教育施設の設立も可能だ」
訴訟2年めにして最高裁が「許可」判決
「前科43犯で「無罪」になったようなもの」

「今年になって患者の話がよく聞こえないんだ。それで思ったんだよ、ああ、これは老いたんだな、と」

 今年101歳になる灸堂・キム・ナムスさんの言葉だ。百寿を超えて身体の老化を実感したとは、確かに特別な人間だ。聴力は衰えたが依然として精力的に患者を診る。3時間ほどしか寝ていなくても一日中元気に動く。同年代の友人はいない。皆もうこの世の人ではないからだ。そんな特別な健康が彼を世界的な針灸の伝道師にした。「私は運動は何もしない。薬も飲まず補養食も食べない。ただ1日1回、自分の体に灸を据えているよ」

 大法院(最高裁)も彼に軍配を上げた。最高裁は最近、キムさんが鍼灸の教育施設を設立することを当局が許可すべきとの判決を下した。2011年にオンライン教育を許可したことに続き、オフライン教育も許可したのである。

 19日、ソウル市清涼里(チョンリャンリ)の灸堂鍼灸院で会ったキムさんは、いつもの通り明るく活気に満ちた声で灸を伝道した。

「耳は遠くなったが一日中活動」
故郷の長城郡で週末には無料で診察
「村ごと訪ねながらつぼ押しもする」

「弟子たちは私を前科43犯と言うんだ。今まで警察と検察に告発されたことが43回あるからね」

 彼が灸を重要視する理由は、誰でもできるからだ。 彼の称号に「灸」の字が入っている理由だ。「灸は生命の宝物。これ以上の治療法はない。鍼は漢方医が灸の効果を早く上げようと入れるんだ。灸は老若男女、西洋、東洋人を問わずみんなに効果がある」

 灸を肌に乗せ火をつけ、約60~70度の熱で軽度のやけどを作ると、経穴を刺激して生まれる特殊な物質が健康をもたらすという。「昔から祖先たちは体に病が生じると大きく灸をを据えた。そして膿をどんどん流すようにしたんだ。わざと膿を出すのさ。膿をたくさん出すために膏薬をつけたりもした。膿は白血球の死骸。傷ができるとその傷に入り込む菌を殺すために白血球が出て、その白血球が菌と激しくたたかって死んだものが膿だ。守備隊のようなこの膿が体に吸収され、血を作る原料となって、五臓六腑が円滑に回るようにする」。キムさんはこの膿を異種タンパク質と言う。

 「私が伝播したい無極補養灸はとても独特な医学だ。なぜなら疾病の予防・治療・健康増進という3つの効果が一気に生じるからだ。副作用のない自然治癒医学で、入院費や薬価の心配のない低コスト高効率の生活医学であるわけだね」

 彼は一握りのもぐさと火をつけるお香1本で十分だという。彼が推薦するもぐさは、3年以上経ち淡黄色を帯びており、手触りが柔らかく、繊維が細く細かく、不純物が混じっておらずよく乾燥したものだ。このようなもぐさであるほど燃えるのが早く、熱さが少なく刺激が穏やかだという。

 キムさんは灸の起源についてこう語る。「火を使用した原始人たちが炎症に苦しんでいたところ、偶然火の粉が落ち、最初は熱さに仰天したが、痛みが徐々に引くという稀な経験をしたのだろう。その後、どこかに炎症が起こると自分で火の粉を患部において治療する経験を通して灸ができたのだ」

 彼は「灸の味を知るべき」とも語った。「最初は刺すような熱さが感じられるが、その熱さを我慢すると、一瞬ぞっとするような冷感とともに全身が軽くなる感じがする。独特な熱感がつぼの深いところまで浸透して、体全体を温かくするんだ」
 彼は男性は12カ所に、女性は13カ所に灸を据えると効果が良いと教える。が、必ずしもすべての個所に灸を据える必要はない。一人で手が届くところに、毎日据えることが大事だ。

 キムさんは「人間の夢は元気に天寿を全うして生きること。病気があってはいけない。生老病死ではなく生老死でなければ。灸はそのような道を行くようにしてくれる。私がその見本じゃないか?」

 彼は漢方学と鍼灸学を父親(キム・ソジュン)から学んだ。彼の兄(キム・ギス)も有名な鍼師だった。兄は「脈もわからず鍼を抜いてはいけない」と言った。むやみに治療をするなという意味だ。また「医師はムーダン(巫俗)をしてでも病気を治せ」とも語った。医療人の道を教えてくれた。

 キムさんは昨年10月、故郷の全羅南道長城(チャンソン)郡西三(ソサム)面金鶏里(クムギェリ)に無極補養灸センターを開き、平日は毎日15人の予約患者を、土・日曜には20人を先着順で無料で診る。

 「もう鍼と灸は個人が教えてはいけません。国家が出るべきです。医療行為にこれは私の、これはあなたのという区別がどこにあるんでしょう?もう、一つになるべきです」これまでキムさんの医療行為に抵抗感を表してきた漢方医たちを意識した言葉だ。

 「まだ具合の悪いところはない。健康な私を見て人が訪ねて来るんだ。最近は新しい方法を使っている」

 彼は長城郡のすべての面(村)を訪問しながら、無料でつぼ押しをする活動も行っている。この3カ月で西三面に住む141人につぼを教えた。本当に頑固な人だ。

文・写真 イ・ギルウ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

最終更新:8月28日(日)12時57分

ハンギョレ新聞