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[MOM1864]市立船橋MF高宇洋(3年)_“いぶし銀”の光放ち始めた市船の10番、随所で勝敗分けるプレー

ゲキサカ 8月28日(日)14時41分配信

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.27 高円宮杯プレミアリーグEAST第10節 新潟U-18 1-2 市立船橋高 デンカS]

 この試合のMOMを選ぶのに、一切の苦労は無かった。文句無しで市立船橋高のMF高宇洋に決まりだった。それほど彼の存在感は際立ち、チームを勝利に導くプレーぶりだった。

 この試合、彼は1得点1アシストをマーク。だが、この結果はあくまで彼をMOMに推す最大の要因では無い。この結果がより説得力をもたらしたのは確かだが、それ以上に彼は相手のチャンスを何度もつぶしていた。

 この試合の新潟U-18の出来は非常に良かった。差し込まれる部分も多かったが、カウンターを狙い続け、いい形でボールを奪っては、チャンスとなる瞬間を作り出そうとしていた。この男がそれを阻んだ。

「今、自分がやるべきことはチームのバランスを取ること。リスクを負っている分、誰かが冷静にリスクマネジメントをしないといけない。その役割が僕だと思っている」。

 今年、トップ下からボランチにコンバートされた彼は、これまでの攻撃のコンダクターから、攻守のバランサーへと変貌を遂げた。今ではそこに自分の居場所を見出し、「昔では考えられなかった」と、新たなる境地へと足を踏み入れていた。

 両SBが高い位置を取り、ボランチコンビを組む阿久津諒がDFラインに落ちたら、高は素早く中間ポジションを取り、攻撃にも守備にも素早くアプローチに行ける体勢を取る。特にCB杉岡大暉がドリブルで前に運んだときは、素早く杉岡のスペースをカバーし、彼がボールを奪われても、ファーストディフェンダーとして動き出し、カウンターの起点を奪う。一方でチャンスと見たらDFが前に出ていても、一気に攻撃に加わり厚みをもたらす。

 後半19分の先制点、33分の決勝アシストもすべて上記の形で生み出された。中盤でボールを受けた高はバイタルエリアのMF太田貴也に縦パスを入れると、こぼれ球に反応した杉岡が高を追い越して拾った瞬間、「相手のDFラインがフラットになってFW村上(弘有)がポストに入ったのが見えた。これは自分が前に行けばチャンスになると思った」と、バランスを取ったポジションを捨て、一気に猛ダッシュ。杉岡の縦パスを村上が落としたボールを受けると、そのままGKと1対1になり、冷静にシュートを沈めた。

 そしてアシストのシーンでは杉岡がドリブルで2人を交わした時、「引っかかったらカウンターを受けるのでカバーに回った」と、3人目に引っかかったこぼれに真っ先に反応すると、「FW郡司(篤也)がいいタイミングで動き出しているが見えた」と、ダイレクトで浮き球のスルーパス。これが郡司にピタリと通り、決勝弾が生まれた。結果が出たシーンにだけ特長を出したのではなく、前半から続けていたことが結果に繋がったのだ。

 そして、MOMが確定する最大のハイライトとなったのが、後半43分のプレーだ。新潟がセンターライン付近でいい形でボールを奪い、MF吉原秀祐が右サイドに展開をしようとボールを蹴り出した瞬間、高の伸ばした足がコースを遮り、そのままブロックされた。このパスが通っていればまさに1点ものだっただけに、勝負を分けるビッグプレーとなった。このチャンスを阻まれた新潟は90分に1点を返したものの、届かなかった。

 得点とアシストシーン以外は、決して派手では無いが、随所に勝負を分ける重要なプレーをしてみせた高。「気が付いたら派手なプレーより地味なプレーが多くなりましたね。でも、それでいいんです。それが持ち味だと気付きましたから」。市立船橋が誇る10番は、金色ではなく、いぶし銀の光を放ち始めている―。

(取材・文 安藤隆人)

最終更新:8月28日(日)14時44分

ゲキサカ