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世界の銀行の利益プール5割をアジア太平洋地域が独占

ZUU online 8月29日(月)7時10分配信

銀行の利益に関する最新レポートから、年々アジア太平洋地域の銀行が勢力を伸ばしていることが判明した。

レポートを発表した米コンサルティング会社、マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査によると、2015年に世界中の銀行がプールしていた利益1兆ドル(約100兆2400億円)中、46%はアジア太平洋地域の銀行によるもので、そのうち中国が占める割合は56%と独走。日本は8%となっている。

■10年間で16%もアジアを押し上げた中国だが・・・

2005年から2015年までの地域ごとの変動を見てみると、かつて全体の大部分である38%を占めていた北米は25%に、26%だった西欧は16%に、2%だった東欧は1%に軒並み落ちこんでいる。

拡大が見られたのは南米とアジア太平洋地域のみだが、南米の上昇率はわずか2%と、アジア太平洋地域の比較にはならない。

2005年には全体の3割にも満たなかったアジア太平洋地域の銀行利益プールを、過去10年間で16%も押し上げた背景には、特に中国における経済の大きな変動があることは間違いない。

アジア太平洋地域の半分以上を独占する中国の銀行利益プールと、第2のシェアを占めるその他のアジア太平洋地域発展国(日本、インド、オーストラリアを除く)との間には、43ポイントもの差が開いている。

OECDやIMF(国際通貨基金)によるGDP(国内総生産)成長率予想では、中国を追い抜いているインドの銀行でさえ、昨年の利益プールは7%と日本よりも低い。オーストラリアはこれをさらに下回る5%だ。

中国の銀行の飛躍は、富裕層や中級階層の増加にともなう内需拡大に深く起因するもので、近年は大口銀行市場よりもリテール銀行市場の方が、著しい盛り上がりを見せている。

■不良債権、経済成長の低迷、スタートアップがアジア銀行にとっての3大懸念

しかしこのままアジア太平洋地域の銀行が順調に加速していくのかという点では、疑問が残る。

利益が増えている一方で、自己資本利益率(ROE)には早くも陰りがさしているのだ。

アジア太平洋全地域で経済成長が鈍化すれば、銀行の顧客である企業に深刻な影響が出始めるのは確実だ。実際中国では昨年、GDP成長率が2000年以来初めて7%を切るなど、不穏な気配が濃厚になりつつある。

年々増加傾向にある不良債権も気になるところだ。マッキンゼーの分析では、損失を補い、自己資本規制比率(CAR)を維持するには、2020年までに4000億から6000億ドル(約40兆920億円から60兆1380億円)の増加資本が必要になる。

こうした懸念とともに、スタートアップによる追い上げの圧力も加わっている。近年のFinTechの盛り上がりは、銀行にとって大きなライバルの出現を指す。

中国での最たる例は、アリババとテンセントという大手2社の共同設立によるオンライン保険会社、Zhong Anを筆頭に、P2PのLufax、ローン決済対応のオンラインリテール、qufenqなど、国際規模で注目を集めているスタートアップが続々登場している。

複数の失速要因を考慮にいれた結果、マッキンゼーはアジア太平洋地域の銀行の成長率も頭打ちし、2011年から2014年の10%という勢いから一転、2016年から2021年は3%程度にとどまると見こんでいる。

レポートでは利益リスクについて分析されているが、今後最もリスクが懸念されている分野は消費者金融。次いで決済、SME融資、ウェルス・マネージメント、住宅ローンなどが挙げられている。(ZUU online 編集部)

最終更新:8月29日(月)7時10分

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