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いっぺんに「3つ」も手に入れたP・リードのセルフコントロール術【舩越園子コラム】

ゴルフ情報ALBA.Net 8月29日(月)12時57分配信

米ツアーはシーズンエンドのプレーオフ4試合が始まり、その第1戦のバークレイズ会場にはリオ五輪を挟んで3週間ぶりに世界のトッププロたちほぼ全員が顔を揃えた。

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世界ナンバー1のジェイソン・デイは五輪出場を辞退した一人だが、五輪のゴルフは最後の1ホールしか見なかったそうだ。いや、風邪に似た症状で寝込んでしまい、最後だけしか見ることができなかったそうだ。

症状が回復してからもジムなど屋内トレーニングが精一杯で、あまりラウンドができなかったデイは、距離的にタフなべスページでは初日から「歩くだけでも息切れする」という苦しい状況から始まった。一部の米メディアは「デイは体調不良の言い訳が多すぎる」「ナンバー1らしく堂々と戦ってほしい」と批判調の記事を早々に書いた。ナンバー1という立場は良くも悪くも注目の的。少々の批判に揺らぐことなく、最終的には4位で終えたところは、さすが「ナンバー1らしい」挽回だった。

それにしても昨今のゴルフ界は本当に目まぐるしい。全米オープン、全英オープン、全米プロとメジャーが続けざまに開催され、すぐさまリオ五輪、プレーオフ4試合へ。欧米選手はプレーオフ終了直後に開催されるライダーカップも見据えながら戦っている。そうやって、どんどん変化する状況や環境の下、自身の目標をどこに設定し、どんな姿勢で臨んでいくかが「今」を生き抜くカギになる。

このバークレイズ終了後、米国人選手はライダーカップのランキング上位8名の米国チーム入りが確定するため、彼らにとって今大会は大きな意味があった。

そんな中、そのボーダーライン上の8位でバークレイズを迎えたパトリック・リードは首位発進した初日から自分の姿勢をしっかり確立していた。「以前、目指すものを目指しすぎて崩れた経験が何度もあった。ライダーカップは今年の僕の大きな目標だけど、あえてそれを考えず、いいゴルフをすることだけを考える」

視線を、すぐ目の前ではなく、その先へ、もっと遠くへ、もっと上へと向けていく。その姿勢を保ちながらリードはバークレイズの4日間を戦った。

テキサスで生まれ育ち、オーガスタ大学へ進んでチームをNCAAチャンピオンに導いた立役者。だが、Qスクール(予選会)を経て2013年に米ツアーデビューしたころは「美人妻がバッグを担ぐ」というフレーズぐらいしか、リードの枕詞は見当たらなかった。

それでも名声やスポットライトに惑わされることなく、地道に努力を重ねたリードは、ルーキーイヤーに初優勝を挙げると翌年は年間2勝。2015年の年明けにはトーナメント・オブ・チャンピオンズで松山英樹を抑えて勝利したが、以来、今日までのほぼ2年間、トップ10には何度も入りながら優勝には届かず、リオ五輪でもメダル獲得には至らなかった。

首位で迎えた最終日。「ひたすら自分のゲームプランに忠実にプレーすることだけを考えた」。気が付けば、15番では2位との差が3打まで広がっていた。リード自身、終盤はやや乱れ、上がり3ホールで2ボギーを喫したが、コツコツ貯めた“貯金”が彼を通算5勝目へ導いた。

いいゴルフをしよう――それだけを考えていたら、優勝とフェデックスカップランキング1位の座とライダーカップの米国チーム入りが手に入った。「自分らしいゴルフが優勝をもたらしてくれた。優勝がすべてをもたらしてくれた」目まぐるしい世界を生き抜くトッププロたちだからこそ、セルフコントロールの方法や能力が大いに問われる時代になりつつある。

文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

(撮影:GettyImages)<ゴルフ情報ALBA.Net>

最終更新:8月29日(月)12時57分

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