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長崎・かわち家が自伝本「チンドン大冒険」刊行 同名の15周年記念公演も /長崎

みんなの経済新聞ネットワーク 8月29日(月)9時30分配信

 街頭宣伝パフォーマンスなどを手掛ける「かわち家」(時津町、TEL 095-882-6300)の親方、河内隆太郎さん(45)が8月1日、自伝本「チンドン大冒険 ~ボクがチンドン屋になった理由~」(長崎文献社刊)を刊行した。(長崎経済新聞)

素顔の河内隆太郎さん

 長崎で生まれ育った河内さんは高校生のころ、当時ヒットしていた学園ドラマの影響を受け、小学校教諭になることを夢見ていた。ところがセンター試験が思わしくなかったため、長崎大学を諦めて関東にある大学の小学校体育課程2次試験に挑戦。結果は不合格だったが、女子生徒がダンス実技を選択していたことを思い出し、翌年の受験に向けダンス教室「かとうフィーリングアートバレエ」(長崎市目覚町)の門をたたく。

 自分以外はレオタード姿の女性だったため、当初は恥ずかしかったが、主宰者の故・加藤久邦さんのオーラに魅了され、いつの間にか教師の夢よりダンスに夢中になる。同教室でダンスを続けるため、教師になるつもりがないのに猛勉強して長崎大学教育学部に合格。ダンスや演劇に熱中し、3年生の時に出演した舞台で「サンドイッチマン」(広告板を体の前後に下げて歩く宣伝マン)を演じたことが人生の転機になる。

 教員採用試験を受験する直前、長崎に来演した憧れの俳優・イッセー尾形さんに会いたい一心で近づいた河内さん。ボディーガードに止められるが、尾形さん本人から「どうぞ中へ」と促され夢の対面を果たす。この体験が「人生は変えられる」という自信になり、教員採用試験の不合格通知が届いた翌朝、突然「チンドン屋」という単語が頭に浮かぶ。

 「振り返れば今日までの人生はチンドン屋のことばかり。チンドン屋になるしかない」と確信した河内さんは、猛反対する両親を押し切り、天職と信じて疑わないチンドン屋の道へ突き進む。

 自伝本「チンドン大冒険」は、第1章「大学受験とダンス」から最終章「その後のかわち家とチンドンの未来」まで、九州を皮切りに全国各地で師匠や先輩、仲間、支援者たちと出会いや別れを経験しながら、結婚、出産、長崎での「かわち家」立ち上げなど、河内さんがプロとして成長してきた足跡と豊富なエピソードを「ボク」が自然体で語る。

 2009年2月22日、かつて修業した菊乃家の大井勘至親方に披露するため、2年前倒しで開いた「かわち家10周年記念興行・チンドン大作戦」は、2000人以上の来場者で超満員となる。肝心の親方は体調不良で会場に来ることができなかったが、親方から河内さんに手紙が届いた。

 「あっという間の一昔、私は少しも変わらない、つまらない。変わったのは隆太郎君だ」で始まる手紙は、自身の人生を振り返りながら河内さんの未来に温かいエールを送り、口癖の短歌で締めくくられていた。「世の中は浮きも沈みも苦も楽も、心の舟の舵のとりよう」。大井親方は翌年3月16日、大好きなうなぎを食べ、「眠いから眠る」と言い残して92歳の生涯を閉じた。最期まで貫いた現役生活は78年に及ぶ。

 河内さんは「チンドン屋になった理由を多くの人から聞かれる。問いに答えるため、たくさんの人の協力で本が生まれた。自伝なんて恥ずかしくて気が引けたが、夢に踏み込めない若者たちに『夢は諦めなくていいんだ』と気付いてもらえればうれしい」とほほ笑む。

 自伝本のキャッチコピーは「試験に落ちた。チンドン屋になろう」。四六判サイズ。280ページ。価格は1,512円。

 9月4日には長崎市平和会館(長崎市平野町)で、かわち家15周年記念公演「チンドン大冒険」も開催する。昼の部「旅立ち編」と、夜の部「独立編」で一貫したストーリーになっており、昼の部は4幕、夜の部は5幕で構成。さまざまな劇団の座長など、7人の演出家が各幕を担当するため、幕ごとに作風が異なるという。幕間は河内さんが語りでつなぐ。

 昼の部=12時30分開場・13時開演、夜の部=17時30分開場・18時開演。入場料は各2,500円(当日は3,000円)。浜屋プレイガイド、くさの書店(西友道ノ尾店内)で取り扱う。

みんなの経済新聞ネットワーク

最終更新:8月29日(月)9時39分

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