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7年ぶり2度目の完全Vも…石川遼に「米ツアー撤退」情報

日刊ゲンダイDIGITAL 8月29日(月)15時46分配信

【KBCオーガスタ 最終日】

 国内なら役者が違うということか。今大会4年ぶり出場の石川遼(24)が、初日からのトップを4日間キープする完全優勝で今季初勝利、ツアー通算14勝目を挙げた。完全Vは7年ぶり2度目だ。

 試合は雷雨接近のため、正午前から約3時間中断したが、2位に2打差、12アンダー単独トップ発進の石川は、通算15アンダーまで伸ばして楽々逃げ切った。

 石川は今年2月、腰椎ヘルニアで米ツアーを戦線離脱。帰国して腰に負担のかからない、スイング改造に取り組んでいた。だが復帰初戦の日本プロゴルフ選手権(7月)は通算12オーバーと、カットラインに10打も及ばずに予選落ち。ゴルフの調子は万全とはいえず、腰の状態ばかりではなく選手生命を心配する声も多かった。それが2戦目で故障の不安を払拭するような勝ちっぷりを見せた。今後は国内大会数試合に出場した後に再渡米し、2016-17年シーズン開幕戦「セーフウェイオープン」(10月13日~)から本格始動する予定だ。

 とはいえ、石川を取り巻く環境は厳しい。現在の世界ランクは197位。試合に出ていないため、レギュラーシーズンが終わってのポイントランクは213位(55ポイント)。米ツアーシード権の125位(454ポイント)には遠く及ばなかった。

 ケガによる公傷制度が認められ、来季の16─17年シーズンは20試合程度に出場できる見込みだ。しかし、そこで125位内をクリアするだけのポイントを稼ぐことができなければ、下部ツアーとの入れ替え戦に回るしかない。石川は14年に入れ替え戦の過酷さを経験しており、「あそこには戻りたくない」と振り返っていた。シード権を取れなければ日本ツアー復帰も選択肢のひとつになってくる。

 石川について丸山茂樹は週刊朝日の連載で「遼は日本のようにギャラリーが多くて注目されてた方が燃えるものがあって、モチベーションが上がってくると言っていた」と書いていた。

 評論家の児島宏氏もこう言う。

「米ツアーは距離が長く、コース設定も難しい。芝質も開催地域によって違います。ドライバー飛距離300ヤードが当たり前の世界です。周りがドライバーを振り回せば、本能として負けたくない。ただでさえ石川はフルショットですから、無理を重ねて腰の故障を再発する恐れがあります。そうなれば今年みたいに一年の大半を棒にふるだけでは済まなくなって、それこそ選手生命の危機も考えられる。日本で簡単に勝てたからといって、では米ツアーで好成績を残せるかといえば、そう甘くはない。それは本人が一番よくわかっているはずです」

■低迷する国内ツアーの救世主になれる

 米ツアーでダメでも国内ツアーなら、まだまだやれることを今回の勝利で証明した。となると、「商品価値」のあるうちに国内復帰する方が得策だ。

 日本ツアーの平均入場者数は前年1万4018人から1万3536人に減り、最終日のテレビ中継の平均視聴率は同5.1%から4.2%に落ち込んでいる(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。石川が4日間、首位を守った今大会の入場者数は最終日に大雨が降っても前年の9446人から1万909人に増えた。石川が試合に出ることによって集客効果がすぐに表れる。ツアー関係者の「日本に帰ってきて欲しい」という待望論はいやが上にも高まるのだ。

 人気者の石川の日本ツアー復帰を望むのは、クラブメーカーも同じだ。世界規模でゴルフ人口が減少しており、大手メーカーですら計画を見直している。ナイキが先ごろ売り上げ不振により、クラブ、ボール事業から撤退すると表明。アディダスもテーラーメイドを売却することを明らかにするなど、業界縮小の動きが進んでいる。

「石川はキャロウェイと契約しており、同社の評価は高い。ただ、米ツアーにはP・ミケルソン、H・ステンソン、P・リード、J・フューリックら同社と契約するプロがいて米市場ではどうしても目立たない。一方、同社にとって大きな市場である日本にはめぼしいトッププロがいないのが現状です。石川には日本で活躍して、売り上げに貢献してもらいたいと考えるのは当然でしょう」(クラブアナリスト)

 あとは本人次第だ。

「高校生の頃から日本で活躍し、念願の米ツアーにも参戦できた。結婚もするなど、一通りの経験をした。国内ツアーならまだ毎試合、優勝争いに絡めるだけの力もあります。国内には他にスター選手はおらず、人気は低迷する一方です。石川が日本ツアーに復帰すれば、救世主になれます」(前出の児島氏)

 ならば、米ツアーでのシード落ちや故障持ちで帰国してからでは遅い。プロは勝ってナンボの世界だ。勝つ見込みのない米ツアーにしがみついて負け犬根性にどっぷり漬かるよりも、日本ツアーで勝ち続けて世界ランキングを上げていくという方法もある。国内ならメジャー挑戦の道も開けてくる。要するに「勝つ」ことを優先すれば、おのずと道は決まるはずだ。

最終更新:8月30日(火)16時32分

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