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【復活V】石川遼の今後と問題点

東スポWeb 8月29日(月)16時49分配信

 王子の復活Vで見えてきたものは――。ゴルフ国内男子ツアー「RIZAP・KBCオーガスタ」最終日(28日、福岡・芥屋GC=パー72)、石川遼(24=CASIO)が通算15アンダーをマークし、初日からの首位を守る完全優勝で大会初制覇。通算14勝目を飾った。腰痛から実戦復帰して今季国内2戦目にもかかわらず、2位に5打差の完勝。国内男子ツアーのレベルの低さに助けられた形だが、米ツアー復帰に向けて不安材料は山積みだ。

 石川が2009年の「サン・クロレラ・クラシック」以来の完全Vを確信したのは16番ホールのティーショットを打った時だった。「最初から優勝争いの雰囲気の中で体がキレていった。最終日まで痛みなくやれたのは、優勝と同じくらい大事なことだと思った」。優勝トロフィーを手にしたことだけでなく、4日間戦い抜けたことを喜んだ。

 今年2月の米ツアー「フェニックスオープン」2日目に腰痛を発症。その後ツアーを離脱し、治療とリハビリの毎日となった。体をひねると痛みが走り、練習ラウンドでもドライバー抜き。それでも決してくじけなかった。復帰戦となった7月の国内メジャー「日本プロ選手権日清カップ」で見せ場もなく予選落ちした時も、ショックよりもゴルフができる喜びのほうが大きかった。

 自分の体と徹底的に向き合い、本格復帰を目指す日々。そして苦労の末にたどり着いた復帰2戦目の今大会。思い切り振っても痛みがなく、思い通りのコースマネジメントもできた。

 運も味方した。2位と3打差に迫られて迎えた11番、ティーショットを左の林に打ち込んだところで雷雨中断。「あれは自分にとっては本当にラッキーだった。追いかける選手にとっては『こいつ崩れそうだったのに…』という中断だったんじゃないかな」。約3時間後に再開したときは、完全に気持ちが切り替わっていた。

 3月の結婚後、初のタイトルを手にした石川にとって、今後の目標は米ツアー復帰。申請していた公傷制度の適用が認められたことで、来季の開幕戦「セーフウェイオープン」(10月13日~)から復帰する予定だ。シード選手に次ぐ優先出場順位を得て、19試合程度の出場が可能。今季の6試合と来季の獲得ポイントが今季のシード獲得ラインを超えれば、その時点でシード復帰となる。

 ただし、これは容易にクリアできるハードルではない。今季の6試合では3度の予選落ちがあり、最高成績も35位と“貯金”はないに等しい状態。限られた試合で結果を残せなければ、過去にも経験した下部ツアーとの入れ替え戦に回ることになる。

 体調面もまだ予断を許さない。復活Vを遂げたとはいえ、連戦をこなせるコンディションを取り戻せているのか。今週の「フジサンケイクラシック」(9月1日~)、1週空いて同15日開幕の「ANAオープン」に出場を予定しており、この2試合で腰の状態を確認することになる。

 優勝を成し遂げた石川の努力は称賛に値するが、図らずも国内ツアーのレベルの低さも浮き彫りになった。

 米ツアーで歯が立たず、故障で長期離脱していた選手があっさり優勝。現在賞金ランク1位の谷原秀人(37=国際スポーツ振興協会)は6打差をつけられ、リオ五輪日本代表の池田勇太(30=日清食品)も置き去りにされた。スター選手の復活は喜ばしいことだが、決して明るい話ばかりではない。

 石川は自分が米ツアーで苦戦する理由を自覚している。「自分くらいの飛距離が中途半端。規格外に飛ぶ選手が楽に感じる設定が多い」。キャリーで290ヤード飛ばす選手でないと難しいだけに、今はそこに近づく努力をしている。米ツアーで勝てなくても、日本では勝ててしまう現状。石川の勝利は日本男子ゴルフ界の危機感を物語っている。

最終更新:8月30日(火)12時0分

東スポWeb