ここから本文です

芸術作家に制作場所提供、静岡県内活況 地域との交流も

@S[アットエス] by 静岡新聞 8月29日(月)8時50分配信

 自治体や民間団体が芸術作家に制作場所を提供する「アーティスト・イン・レジデンス(AIR)」の取り組みが県内でも注目を集めている。若手作家らにとって、創作に集中できる空間は貴重。欧米で普及しているAIRは作家が住民や来場者らと交流するのも特徴で、地域に芸術の魅力を広げる拠点にもなっている。

 昭和初期に「浜松警察署」として建築され、レトロな外観の浜松市中区の鴨江アートセンター。文化や芸術の表現活動を市民に紹介する狙いで市の指定管理者が運営し、2014年度からAIR事業を始めた。

 「表紙などに使う紙にロウを塗る作業などは自宅ではやりづらい。空調が整っているここは作業もしやすく、他の作家や一般来場者との交流は創作の刺激になる」

 写真集を作るために同センターに滞在している写真家小林久人さん(45)は、満足した表情で語った。

 センターは約20平方メートルの工房4室を4カ月間無償で貸し、制作費2万円を補助している。入居しているのは小林さんら4人。同センターは8月に作家らが市民と交流する「鴨江アートバザール」も開き、家族連れなどでにぎわった。

 難点は、指定管理による公共施設のため夜間は閉館しなければならず、作家が24時間工房にこもることができないところ。

 静岡市葵区清沢地区で町おこしに取り組む「清沢クラブ」は昨年3~4月、同地区でAIRを試みた。日本人やフランス人の作家3人が民家に滞在。自然に触れながら創作活動に励み、住民とワークショップも行った。

 同クラブにも課題はある。杉山達也代表理事は「滞在できる民家など、受け入れ態勢を充実させなければ根付かせていくのは難しい」と話す。

 2006年から国内最大規模のAIR事業を展開する「トーキョーワンダーサイト」(東京都)の今村有策館長は「創作支援は外部に見えにくく、資金や助成が得づらい。大学や美術館などの連携により大きな可能性が見いだせる」と展望を示す。

静岡新聞社

最終更新:8月29日(月)8時50分

@S[アットエス] by 静岡新聞