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林業再興 若い力で 最年少担い手・水野さん 震災転機 家業継ぐ

福島民報 8/29(月) 14:25配信

 福島県古殿町にある水野林業の水野広人さん(29)は町内で最年少の担い手として林業の町を支えている。大学卒業後、大手衣料品販売店に就職し、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故が転機となった。風評にさらされる林業を再興させると決意し、平成25年に家業を継いだ。若者らしい発想と行動力で販路を開拓し、林業の魅力を紹介するイベント開催などの構想を練っている。
 学法石川高卒業後、上武大に進んだ。当初、林業に就くつもりはなかった。幼い頃、祖父広富さん(81)の仕事を間近で見ながら、苦労が多く、危険を伴う現場だと感じた。大学卒業後に都内で衣料品販売業に就いた。
 就職から一年になろうとする時、震災と原発事故が起きた。傷ついた古里をニュースで目にして衝撃を受けた。「(地元に)戻ろうと思う」。父峰次さん(58)に打ち明けた。「林業の厳しさが分かっていない。中途半端な気持ちなら戻らなくていい」。厳しい言葉が返ってきた。中には愛情が込められていた。
 何をするべきか-。自問自答の中で脳裏に浮かんだのは魅力あふれる古里の山々だった。山と生きる決心を固め、25年1月に帰郷した。林業は10年でようやく一人前になるとされている。従事して3年。半人前と自覚しながら祖父や父を師匠に3代目として技能を磨いている。
 水野林業は古殿町といわき市に合わせて約50ヘクタールの山林を保有し、スギなどの良質な木材を首都圏方面を中心に出荷していた。県産材は敬遠されているとの市場関係者の声を今なお聞く。原発事故の風評の根深さを実感し、林業再生を目指す取り組みに力を入れている。
 販路開拓では25年から高級割り箸を製造しているいわき市川部町の磐城高箸(たかはし)にスギ材を卸している。高品質な素材と高い技術力を融合させた磐城高箸は昨年、福島民報社の「ふくしま経済・産業・ものづくり賞」(ふくしま産業賞)の福島民報社奨励賞を受けた。
 林業のイメージを変え、就いてみたい仕事にしようと子どもたちに山や林業の魅力を伝える体験活動を企画するアイデアを温めている。「若いからこそできる取り組みがあるはず。活性化に向けて精いっぱい汗を流したい」。真っすぐに伸びた杉林で思いを語った。

福島民報社

最終更新:8/29(月) 14:29

福島民報