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茶のドイツ語文献、翻訳 島田の中川さん出版「研究の一助に」

@S[アットエス] by 静岡新聞 8月29日(月)17時50分配信

 元農林水産省茶業試験場長で、佐藤園(静岡市)の技術顧問を務める中川致之さん(88)=島田市金谷泉町=が、18世紀末から19世紀初期にドイツ語で書かれた茶の主要文献を翻訳した「茶化学成分研究の黎明(れいめい)期~ドイツ語文献と邦訳」を自費出版した。「正しい歴史を後世に残しておきたかった。若い研究者の参考になれば」と話す。

 中川さんによると、カフェインやカテキンなどの茶成分の研究に関する初期の論文は、ドイツ語で書かれたものが多い。しかし、最近の国内の著名な論文には、こうしたドイツ語の原文を読まずに、別の資料から孫引きしたことが理由とみられる茶史についての誤認が散見されるという。中川さんは「自分の拙い翻訳でも、少しは役に立つのでは」と考えた。

 同書は8章で構成する。欧州の各研究者が1798~1838年に発表した「ボヘア茶と緑茶について」「中国とジャワの茶の化学的研究」などの論文の主要部分と翻訳を、約200ページにまとめている。

 中川さんは2009年に、茶成分の研究の足跡をしるした「茶の健康成分発見の歴史」を出版し、昨年には英語版も出した。今回のドイツ語文献の翻訳は、現役を退いてから約20年間ライフワークにしてきた調査の集大成の位置付けで、中川さんは「これで完結。やりたいことをやれた」と話す。

 元静岡県茶業試験場長の小泊重洋・茶学の会会長は「原典を入手するだけでも大変だったはず。ドイツ語を読める茶の研究者は少なく、誰でも読める形にした功績は大きい」と評価する。

静岡新聞社

最終更新:8月29日(月)17時50分

@S[アットエス] by 静岡新聞