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複雑化するハイブリッドクラウド時代の運用管理、解決策は

ITmedia エンタープライズ 8月29日(月)12時51分配信

 企業においてIT基盤を統合・再構築する動きが活発化している。ビジネス環境の急速な変化やデジタル化に対応するためだ。日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が先頃発表した「企業IT動向調査2016」におけるIT基盤の取り組み状況によると、IT基盤の統合・再構築について「実施済み」あるいは「部分的な実施/現在取り組み中」と回答した企業は全体の54.2%に上った。

【画像】複雑化するクラウド運用管理を解決するカギとなるのは?(ネットワンシステムズの資料より)

 図1がその調査結果を示したものである。この図でクラウドの項目に注目すると、同様の合算で、プライベートクラウドの構築は36.2%と、その他のクラウドサービス(IaaS/PaaS/SaaS)に関連する項目と比べて高い割合となっている。この調査結果からハイブリッド利用の状況は分からないが、プライベートクラウドが前提となるハイブリッドクラウドが相当分、含まれていると推測できる。

 また、国内の市場規模として、パブリッククラウドは2020年に2015年比2.7倍の7346億円、プライベートクラウドは2019年に2014年比3.0倍の1兆8601億円になると予測しているIDC Japanは、今後の市場の動きについて次のような見解を示している。

 「プライベートクラウドにおけるユーザーの期待は業務の効率化なのに対し、パブリッククラウドは効率化だけでなくビジネスイノベーションへと広がっている。そして今、これらを連携させるハイブリッドクラウドにも注目が集まっている。ハイブリッドクラウドでは、複数のクラウドを統合管理するとともにITガバナンスの強化が必要であり、ハイブリッドクラウドの“ハブ”としての機能がプライベートクラウドにおいて重要となってきている」

 では、ハイブリッドクラウドの実現に向けてどのように取り組めばよいのか。課題は何か。この疑問に、ちょうど答えてくれるITベンダーの発表会見が先頃開かれた。ネットワーク系システムインテグレーター大手のネットワンシステムズが、自らの顧客調査結果とともにハイブリッドクラウド対応サービスを発表したのがそれだ。

 同社が発表したのは、安全・多機能・高性能にハイブリッドクラウドを実現すると銘打った「クラウドHUBサービス」である。まさしくIDCが指摘したハブ機能を持つサービスである。その会見で同社が明らかにした顧客調査結果が興味深い内容だったので紹介しておきたい。

●顧客調査に見るハイブリッドクラウドへの要望

 「もし、企業のシステムが一斉にパブリッククラウドへ移行するならば、当社にはお客さまから声が掛からなくなるのではないかと危惧した時期もあった」

 こう語ったのは、会見で説明に立ったネットワンシステムズの松本陽一 市場開発本部長である。しかし、実際にはパブリッククラウドが注目されるにつれ、まずはオンプレミスと接続してハイブリッドクラウドとして有効活用したいとの要望が同社に多く寄せられたという。

 そこで顧客にヒアリング調査を行ったところ、具体的な要望として「マルチクラウドとの閉域網接続」「Microsoft Office 365の利用」「インターネットセキュリティ対策」「ネットワーク機能のサービス利用」といった点が浮き彫りになった。つまりは、これらがハイブリッドクラウドにおける課題である。

 また、ハイブリッドクラウドの実現に向けて、「お客さまの93%はクラウド活用に向けた次世代ネットワークのグランドデザインを検討している」「お客さまの83%はSaaSも含めたマルチクラウドの活用とデータセンターの在り方について検討している」といったことも明らかになった。松本氏によると、こうした顧客の声をもとに商品化したのが、クラウドHUBサービスなのである。

 同サービスは、各クラウドとの専用線を持つデータセンター内に新しいネットワーク接続点(クラウドHUB)を設けることで、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure、Office 365をはじめとしたマルチクラウドとの閉域網接続機能およびWANやインターネットとの接続機能を提供するというものである。

 さらに、セキュリティ機能として、最新のファイアウォールやIDS・IPS、認証、マルウェア検出、プロキシ、ログ収集・分析などを提供。セキュアな環境でのコロケーション機能も備えることで、顧客の個別の要望にも対応可能な環境を提供するとしている。(図2参照)

 このサービスを導入することにより、最新のセキュリティと統一したポリシーの下で複数のクラウドへの閉域網接続を実現できるとともに、月額サービスのためクラウドの利用量増減に応じて帯域幅を柔軟に調整可能で、セキュリティアップデートの運用負荷も削減できるという。

 同社ではこのサービスによって、「クラウド事業者は自社のクラウドを利用するためのインテグレーションしか行わない」「クラウドとオンプレミスデータセンターを合わせて相談できるインテグレーターがほしい」といった顧客の要望にも応えることができるとしている。

 まさにネットワーク系システムインテグレーターならではのサービスである。クラウド事業者からすると異論もあるかもしれないが、顧客調査に基づく商品企画には説得力があった。ハイブリッドクラウドにどう取り組めばよいかと頭を悩ませるユーザーにもヒントになるところがあるのではないだろうか。

最終更新:8月29日(月)12時51分

ITmedia エンタープライズ