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ご飯 米輸出の地ならし 炊飯文化ない海外―販路開拓の鍵

日本農業新聞 8月29日(月)7時0分配信

 パックご飯に冷凍米飯・・・。国産米を使った加工品輸出が酒以外にも広がっている。海外の人が、おいしいご飯を炊き上げるには、食文化の違いや水の問題があり、まだまだハードルが高い。国内では時短商品の代名詞となる、こうした加工品だが、輸出向けも“手軽さ”を強みに各メーカーは売り込む。輸出振興機関は「国産の米加工品が海外で浸透すれば、現地で日本のご飯を炊いて食べる習慣の下地づくりになる」とみる。

パック商品北欧へ すし人気10万食に 米卸・神明

 国産うるち米のパックご飯を、海外市場に売り込む米卸大手の神明グループは、2016年度の輸出量を約20万パック(1パック200~300グラム)と計画し、この4年間で2倍以上に広げる。特に伸びが大きいのはデンマークとスウェーデンの北欧市場。現地スーパーのプライベートブランド(PB)商品として14年度から売り始め、10万パックまでになった。

 海に囲まれる北欧では、ちょっと高級なファストフードとして、すしの人気が高まっている。このため、「家庭で手軽に楽しもうと、手巻きずし用に、パックご飯を買い求める人が現地で増えている」(同社)。国内市場で主流の1パック200グラムより多い300グラムが売れ筋という。

 現地スーパーなどでの売価は国内の2、3倍。ライバルの韓国産と比べても価格競争力では劣るが、同社は「米自体の食味や添加物不使用といった製造技術で分がある」と自信を見せる。

 オーストラリアに進出する日本の100円ショップチェーンを通じ、15年度から現地販売に乗り出している。

炒める”本格派人気 もち米100%菓子が定着 冷食・米菓メーカー

 冷凍食品大手のニチレイフーズ(東京都中央区)も、得意の冷凍炒めご飯で輸出を手掛ける。国産米を使った商品「鉄板炒めビーフピラフ」で15年度から展開。現在、米国に約2500店を出店するスーパーの冷蔵総菜コーナーで、量り売りされている。

 同社によると、米国の食品メーカーも冷凍炒めご飯を手掛けるが、蒸すなどの調理方法が一般的という。その中で、現地の中華レストランなどでもなじみの“炒める″工程を取り入れた商品が、「本格的な味を手軽に味わえる」として受けている。検疫をクリアするため、牛肉を使わないなど仕様を変える。

 パックご飯で既に韓国メーカーと連携する、米菓メーカーの越後製菓(新潟県長岡市)は、菓子でさらに市場の深掘りをする。国産もち米100%にこだわった菓子「ふんわり名人」の輸出額は現在、1億円。12年度比で3倍以上に成長した。米はJA全農などから仕入れている。同社は「現地のスーパーで定着してきた」と実感する。

日本貿易振興機構(ジェトロ)農林産品支援課の中島潔課長の話

 国産米の輸出は拡大傾向にあるが、市場はまだ小さい。米の加工品と合わせた現状の輸出額(約200億円、農水省調べ)は、その大半を日本酒など加工品が占めており、米としてはわずかだ。国が掲げる米の輸出目標(2020年に600億円)に到達するには、多様な売り方、PRが必要になる。

 精米だけのセールスでは、安い外国産との価格差や、炊飯器が家庭に普及していないという消費事情も重なって海外では浸透しにくい。その点、パックご飯など、手軽に味わえる加工品の輸出が増えれば、ご飯を炊いて食べる日本の食文化が現地で浸透するための、下地づくりになる。(宗和知克)

日本農業新聞

最終更新:8月29日(月)7時0分

日本農業新聞