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2型糖尿病治療、負担減へ道 野出佐賀大教授ら論文

佐賀新聞 8/29(月) 11:00配信

高価な特定薬 動脈硬化抑制、優位性なし

 動脈硬化を抑制するのに効果があるとされてきた特定の薬に優位性はなく、それよりも安価な薬でもいい-。そんな研究結果を佐賀大医学部の野出孝一教授(55)=循環器内科=らのグループがまとめた。患者の医療費削減につながる可能性があり、国際的な医学誌「プロス・メディシン」に論文が掲載された。

 動脈硬化は、糖尿病患者の半数程度でみられる合併症の一つ。野出氏らは、合併症が心配される患者らに多く使用されている2型糖尿病治療薬「DPP-4阻害薬」の効果に着目した。

 この薬はインスリンの分泌を阻害する酵素「DPP-4」の働きを止め、血糖値を下げる効果がある。また、細胞の老化や血管の炎症を引き起こす酸化ストレスを抑えることから、動脈硬化を防ぐとされてきた。

 研究には、大学病院など全国約60施設の研究者150人が参加した。2型糖尿病患者463人を対象に、DPP-4阻害薬を投与する人と、別の薬を投与する人とをほぼ半数に分け、2014年6月までの2年間のデータを収集した。

 頸(けい)動脈をエコーで調べ、動脈硬化の原因になる動脈硬化巣の厚さを測定した。その結果、両グループとも、投薬しない場合と比べて動脈硬化巣が薄くなり、抑制効果は認められたが、DPP-4阻害薬に特別な優位性はなかった。

 一方で、別の合併症である網膜症や神経障害への優位性は確認された。また、糖尿病治療薬の副作用である低血糖発作がほとんど起きないことも分かった。

 DPP-4阻害薬は人体に悪影響を及ぼす可能性が低く、野出氏は「良い薬」と評価するが、「他の治療薬と比べて高価。動脈硬化抑制を目的にするのであれば別の薬でもよく、患者の負担軽減は可能」と話す。

 野出教授らは今回のデータを活用し、心不全に対する効果などについても研究を進める。

最終更新:8/29(月) 11:00

佐賀新聞