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大腸がん幹細胞の働きを抑制する化合物。新しい治療薬への期待も

ニュースイッチ 8月29日(月)8時40分配信

国立がん研などが創出

 国立がん研究センターと理化学研究所、カルナバイオサイエンスは、大腸がんの細胞を作る基となる細胞「大腸がん幹細胞」の働きを抑制する新規化合物を創出した。大腸がんの90%以上で起こる遺伝子異常を標的として開発。マウスの実験で、同化合物が大腸がん幹細胞の働きを抑える効果を確認した。既存の抗がん剤が効かない患者向けの治療薬として実用化を目指す。

 研究チームは、大腸がん細胞の増殖維持に欠かせない物質として、リン酸化酵素の一種「TNIK」を特定。同酵素の活性を阻害する新規の化合物「NCB―0846」を発見した。

 がん幹細胞では、ポンプの働きをするたんぱく質が薬剤を細胞の外に排出してしまう。そのため従来の抗がん剤は、がんの腫瘍を小さくできても、がん幹細胞まで根絶することができない。治療後にがん幹細胞が少数でも残存すると腫瘍を再構築してしまい、がん再発の原因となる。

 「NCB―0846」は経口投与が可能。ヒトの大腸がん細胞を移植したマウスに同化合物を投与したところ、がん幹細胞の働きを顕著に抑制できた。成果は26日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ電子版に掲載された。

 日本では年約5万人が大腸がんで死亡している。転移のない大腸がんの多くは外科手術で治る一方、遠隔転移や手術後に再発した患者の治療は難しい。遠隔転移のあった大腸がん患者の5年生存率は約15%にとどまっている。

最終更新:8月29日(月)8時40分

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