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吉川晃司「人生初です」東京体育館シンバルキック、華麗に鮮やかにツアー幕

MusicVoice 8月29日(月)19時41分配信

 吉川晃司が8月27日・28日、東京体育館(東京都渋谷区)で、全国ツアー『KIKKAWA KOJI Live 2016 “WILD LIPS”』のファイナル公演を開催。水球日本代表「Poseidon Japan」公式応援ソング「Over The Rainbow」を初披露するなど、6月11日にスタートしたツアーは大盛況のうち、幕を閉じた。

【写真】熱唱する吉川晃司

 アスリートたちの熱気や汗が染みこんだこの会場は、全身を駆使してダイナミックに歌の世界を表現していく吉川にぴったりだった。

 吉川は「歌って32、3年ですが、東京体育館は人生初です。建て直したけど、かつてここで東京オリンピックをやったんだよね。で、きっと次のオリンピックでもやるんだよね。なんか、いいんじゃないの?」との発言もあった。

 オープニング・ナンバーは最新アルバム『WILD LIPS』のタイトル曲「Wild Lips」。ステージに幕がかかった状態で演奏が始まると、吉川の姿がシルエットで浮かび上がり、幕に真っ赤な唇のイラストが映し出されて、観客に配られたLEDリストバンド(コンピューターで制御されて、無線でLEDがカラフルに光るリストバンド型ライト)が赤と白に点滅し、いきなりスリリングかつカラフルな空間が出現。

 「何よりも笑顔の再会ができたことが最高です」という吉川の言葉通り、最初から最後まで会場内には濃密な一体感が漂っていた。前半は最新アルバム『WILD LIPS』収録曲が続く構成。ツアー前半では演奏されなかった「Oh, Yes!!」なども演奏された。

 「今回はロック色を濃くして、我が道を行く人たちにお願いしました」との吉川が語った本ツアー。ホッピー神山(Key)、菅原弘明(G、Key)といった馴染みのメンバーに加えて、生形真一(G)、ウエノコウジ(B)、湊雅史(Dr)という新メンバーが加わったバンドも男っぽくてダイナミックで気迫にあふれる演奏を展開していく。

 バンドはステージを重ねるごとに磨かれ、鍛え抜かれていた。

 大人の色気が漂う「Expendable」、包容力あふれる歌が素晴らしい「ONE WORLD」など、ロックであることと大人の味わい深さとが共存するステージは見事だった。「MODERN VISION」「スティングレイ」などでは吉川もギターも弾きつつの歌。

 中盤からは最新アルバム収録曲に加えて、ライブでの代表曲、人気曲がこれでもかと繰り出されていく。スポーツで言うところのハイライト・シーンの連続。「Juicy Jungle」ではカラフルな巨大バルーンも登場した。

 「Oh, Yes!!」や本編最後の「BOY'S LIFE」のフィニッシュの瞬間にトレードマークとなったシンバルキックを鮮やかに決めると、熱烈な歓声と拍手が起こった。

 アンコールではリオデジャネイロ・オリンピックの水球日本代表ポセイドン・ジャパンの監督と選手から依頼されて、制作したポセイドン・ジャパン公式応援ソング「Over The Rainbow」も初披露された。

 吉川は高校時代に世界ジュニア水球選手権大会に日本代表として出場し、2年連続全日本高校最優秀選手に選ばれるなど、世界を目指した経緯があり、水球への思い、この曲への思いは強い。

 「オリンピックの水球の試合を観ていると、あんなとこからそんなとこまでうずきまして、もう出来ませんが、体が動いちゃいました。自分にとっては特別なオリンピックで。“水球の応援歌を”と言っていただいて、冥利に尽きるなと。これを外したら、お前、歌い手辞めろよっていうくらいの気持ちでのぞみました。でも時間がない中だったので、オリンピック初戦が行われた6日の2日前、4日でした」とのこと。

 この競技を自分の体で熟知している人間だからこそ描ける“水球の美しさ”までもを見事に表現したナンバー。七色の光に照らさる中での開放感と高揚感とを備えた歌は圧巻だった。初めて聴くにもかかわらず、拳をあげて、ともに歌う観客の姿も目立っていた。水球代表はもちろんのこと、聴く人すべてに大きなパワーをもたらす曲だ。

 1964年の東京オリンピックではこの東京体育館のプールが水球の舞台となった歴史もある。ここで歌われるべくして歌われた歌とも言えそうだ。2日目の28日にはポセイドン・ジャパンのメンバーも鑑賞していた。

 「最高に緊張しているんだよ。なんとポセイドン・ジャパン来てます」と吉川が客席の選手達を紹介すると、観客から拍手が起こった。「最高の気分で歌います」とのことで渾身の歌を披露していった。「オレは挫折した身だから、(ポセイドン・ジャパンは)世の中で一番尊敬するチームです」との言葉もあった。

 闘っていく中での悔しさや苦しさも知っている吉川だからこそ、こんなにも鮮やかで気高い“虹”を表現していけるのだろう。この「Over The Rainbow」について、ポセイドンジャパンの志水祐介キャプテン、大本洋嗣監督からのコメントも届いた。

 「吉川さんに応援ソングを提供して頂き、私たち水球日本代表、そして日本水球界にとって大きな力に変えることができました。本当にありがとうございます! 経験されていた吉川さんだからこそ分かる、水球の歴史、辛さ、面白さ、全てを詰め込んで頂いた応援ソングです。オリンピックでも試合前に『Over The Rainbow』を聞き、闘争心を高めることができました。吉川さんの曲のように、どんな相手であろうとも、立ち向かい超えてやろうと気持ちになりました。結果で恩返しをしたかったのですが、全敗という形に終わりました。が、以前約束させて頂いた、カッコよく思いっきりのいい試合を展開できたと思っています。今後とも東京オリンピックに向け、水球のテーマソングとして使わせていただけると嬉しいです。まだまだ日本水球は進んでいきます。是非今後ともよろしくお願い致します」(志水祐介選手)

 「オリンピック直前に吉川さんから応援ソングと動画メッセージを届けていただいたのですが、ちょうど海外遠征が長く続いて、みんな、行き詰まってる時だったので、あの楽曲と“思いっきり楽しんで”というメッセージを吉川さんからもらったことがチームがひとつにまとまるきっかけとなりました。水球選手だった吉川さんにしか書けない歌詞だからこそ、選手の心に響きました。オリンピック前のウエイトトレーニングでも、試合直前に選手のモチベーションを上げるために見るビデオでも、毎回この曲をかけていました。試合直前、ロッカーから出る瞬間に聴いていたのも『Over The Rainbow』でした。残念ながら試合には勝てなくて、ツアー中にもかかわらず、素晴らしい曲を書いてくださった吉川さんには申し訳ない気持ちもありますが、いい闘い方はできたと思っています。吉川さんの男気は32年振りに勝ち取ったオリンピック出場へのご褒美だと思っています。ありがとうございます」(大本洋嗣監督)

 「Over The Rainbow」は、日本水泳連盟から水球日本代表Poseidon Japan公式応援ソングとして認定されたので、2020年の東京オリンピックで耳にする機会が増えるだろう。続いての「せつなさを殺せない」は観客へのラヴソングのように温かく響いてきた。

 アンコールのラストは「Dream On」。この曲も夢がモチーフとなった歌だ。吉川の歌声とバンドとが一体となって、強靱なグルーヴが生まれていく。困難を乗り越えていく突破力が宿った歌声が胸を熱くしていく。曲の後半に幕が降りて、空と雲が映し出された。その映像と吉川のシルエットとが重なった光景は神々しいほどに美しかった。

 27日がツアーの最高記録を更新していく完成度の高いステージだったとすると、28日は最高記録がどうとか、もはや数値化できない領域へと突入していくステージとなった。「LA VIE EN ROSE」「A-LA-BA・LA-M-BA」「Black Corvette'98」などなど、リミッターがはずれた状態での歌、演奏、パフォーマンスは圧巻だった。限界を越えていくことを身をもって体現していくようなステージ。吉川もバンドも観客も一体となって、“超えていく感覚”を体感していたのではないだろうか。

 終演後、幕に“Have a Sweet Dream”“See You”という文字が映し出された。夢を見ることのかけがえのなさ、尊さ、美しさを実感した夜だった。スポーツにも通じる感動と興奮の連続だった。ちなみにこのファイナル公演の模様はWOWOWで10月16日に21時から放映される予定だ。

 2日目のアンコール時のMCで「ライブ、まだやりたりないなという気持ちがあるので、年末、やります」との発言もあって、12月29日・30日の国立代々木競技場第二体育館にライブがおこなわれることも発表になった。東京体育館から国立代々木競技場へ。ここにもオリンピック繋がりの流れがある。

最終更新:8月29日(月)19時41分

MusicVoice

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。