ここから本文です

医療費を取り戻す2つの方法と注意点 「高額療養費」制度と「医療費控除」制度について

マネーの達人 8月29日(月)5時19分配信

日本は国民皆保険制度があるとはいえ、大病を患ったりするとどうしても医療費がかかってくることがあります。

「でも医療費が戻ってくるよ」なんて話を聞いたことがあるかもしれません。確かにそういう制度がありますが、その「制度」とはいったいなんでしょうか。

本来の意味で考えてみると

医療費は、1~3割の自己負担分と、残りの健康保険組合などの保険者が負担する分に分かれます。例えば総額で100万円の医療費がかかるとしても、健康保険に加入し3割負担の方であれば30万円だけ支払います。

30万円はかなりの大金です。これを戻すことができるのでしょうか?

実は医療費のうち自己負担分には、制度上ある月1か月間において上限を設けています。この上限額は所得により異なります。例えば住民税非課税世帯であれば、3万5400円です。

すると、30万円を一旦払ったとしても、住民税非課税世帯であれば3万5400円との差額26万4600円を取り戻すことができるのです。この取り戻せる26万4600円は、高額療養費と呼ばれます。

療養費と言いますが、意味的に医療費の取り戻しですね。取り戻す際には、健康保険組合・全国健康保険協会・市区町村など加入している健康保険の団体に、高額療養費の支給申請書を提出することになります。

あれ、聞いていたのと違う…

上記の説明をご覧いただいて、ああそうするのかと思われた方、そうだったよねと思われる方、あれそうだっけと思われる方がいらっしゃるでしょう。

違和感を覚えた方は、税務署に医療費の領収書を持って行って確定申告するんじゃないかと。

確定申告により取り戻す方法は、医療費控除の制度です。検索エンジンを使って医療費の取り戻し方を調べてみると、この医療費控除の解説のほうが多く見受けられます。

しかしこれは高額療養費制度とは似て非なるものですし、「医療費を戻す」という観点で考えた場合に注意を要します。

注意点

■1. すでに徴収されている所得税があるのか?

サラリーマンの方であれば、多くの方が給与から所得税が引かれています。また、年金生活者の方でも、厚生年金・共済年金や企業年金までもらえるような方であれば、年金から所得税が引かれています。

逆に引かれている所得税がないと、医療費控除したところでお金を得ることはありません。医療費控除して戻ってくるものは、所得税の還付金です。

■2.必ず戻ってくるとは限らない

所得税の確定申告は、1年間の所得とそれに対する所得税額を計算し、すでに引かれている所得税のほうが計算した所得税額より多ければ、還付されます。

例えば医療費控除を適用して計算した所得税額が5万円、給与等から引かれている所得税が6万円であれば、1万円は戻ってきます。

逆に前者が7万円で後者が6万円ですと、1万円納めることになります。確定申告したら納めることになって驚かれるケースも中にはあります。戻ってくるか払いっぱなしになるかの高額療養費制度がこの点は異なります。

■3. 戻ってくる金額の計算が複雑

医療費が年間10万円超えたら確定申告するといい、という話は聞いたことがあるかもしれません。医療費(自己負担)-10万円を所得から差し引くことができます。

ただし合計所得金額が200万円を下回っていれば、医療費-合計所得金額×5%を所得から差し引けますので、年間10万円未満でも医療費控除を使えます。この点までは把握されていらっしゃらない方も多く、知らないと損でしょう。

さらに高額療養費や生命保険(医療保険)の給付金を受けていたら、上記の医療費から差し引かないといけません。

合計所得金額が180万円で、医療費が20万円、医療保険の給付金が5万円とした場合、所得から差し引ける金額は

20万円-5万円-180万円×5%=6万円

です。

ここまでの計算も複雑ですが、これは「所得から差し引く金額」ですので、節税できる額でも戻ってくる金額でもありません。それらを求めようとすると、さらに計算を進めないといけませんが、計算の複雑さはお判りいただけたでしょう。

まとめ

医療費を戻す手段としては、高額療養費制度と医療費控除制度があるのがご理解頂けたと思います。

まず高額療養費制度が使えないかを確認し、使える場合はそちらの申請するのを優先したほうがいいと考えます。使える場合は確実に戻ってくるからです。

その上で医療費控除を使って税額を低くし、還付金が出てくれば儲けものぐらいに思ったほうがいいのではないでしょうか。(執筆者:石谷 彰彦)

最終更新:8月29日(月)5時27分

マネーの達人