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「両手でバツ印」 銀メダリストの圧政抗議、エチオピア国内は… 記者が覚えた「違和感」

withnews 9月1日(木)7時0分配信

 リオ五輪の男子マラソンで銀メダルを獲得したエチオピアのフェイサ・リレサ(26)が、額の前で両手を交差させるポーズでゴールした。オロモ人に対するエチオピア政府の「圧政」に抗議したという。競技後、報道陣から「チームメートに事前に相談したのか」と聞かれ、「エチオピアでそんな話はできない。心の中で考えただけだ」と答えていた。ぼくは、エチオピアで暮らすオロモの友人たちのことを思った。(GLOBE編集部・左古将規)

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人口6%の民族が中枢、最大民族がデモ

 今年5月、学生時代に暮らしたエチオピア西部の村を17年ぶりに再訪した。村はオロミヤ州にあり、住民のほとんどはオロモ人だ。

 アフリカ大陸で2番目に多い人口9410万のエチオピアは、約80の民族が暮らす多民族国家だ。民族自治制を採用していて、主な民族ごとに分かれた9つの州がある。2007年の国勢調査によると、最大の民族はオロモで、人口の34%を占める。だが、1991年に成立した現体制の中枢を担ったのは、人口の6%のティグライという民族だ。

 米ニューヨークに本拠を置く国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」によると、昨年11月以降、オロモが暮らすオロミヤ州各地で政府に対する抗議デモが相次ぎ、政府の治安部隊が発砲するなどして、400人以上の市民が死亡し、数万人が逮捕されたという。きっかけは、首都アディスアベバの拡張計画に伴い、周辺のオロモ人たちが立ち退きを迫られたことだという。

 エチオピアを再訪する前に、東京でオロモ人の男性に会った。学生時代に覚えたオロモ語を学び直したいと考え、人づてに紹介してもらったのだ。彼は最初、自分の身の上話をしたがらなかった。

 言葉を習いながら少しずつ教えてくれたのは、教師を経て、ジャーナリストをしていたこと。日本に来て難民申請していることだった。昨年11月以降、故郷近くの町でも多くの住民が殺害され、身内も投獄されたと言う。「オロモ人は迫害され続けている。アディスアベバではオロモ語を大っぴらに話さない方がいい」とアドバイスされた。

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最終更新:9月1日(木)7時0分

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