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北九州港に洋上風力発電所を建設へ、大規模な事業計画を公募

スマートジャパン 8月30日(火)13時25分配信

 洋上風力発電所の建設予定地は、北九州市の日本海側に面した「響灘(ひびきなだ)地区」の沖合だ。この一帯は北九州市が「響灘エネルギー産業拠点」に位置づけて、再生可能エネルギーの導入を推進している。すでに太陽光・陸上風力・バイオマス発電の導入プロジェクトが進んでいるが、新たに洋上風力発電を加えてエネルギー産業の拠点を拡大する。

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 北九州市が8月19日に発表した公募計画によると、洋上風力発電の対象になる水域は市が管理する「北九州港」の港湾区域のうち、港に出入りする航路などを除いた4つの区域を想定している。岸壁から最短で300メートル、最長で10キロメートルほど離れた広大な水域で、合わせて2687万平方メートルに及ぶ。

 この4区域を使って発電能力が50MW(メガワット)以上の洋上風力発電所を建設する計画だ。2021年4月1日以降に建設を開始することを条件に、発電事業者は20年間にわたって対象水域を占用できる。占用料として発電設備の工作物1平方メートルあたり年額で300円以上、そのほかに上空や地下埋設物などの占用に対しては同150円以上を市が徴収する。再生可能エネルギーの拡大と合わせて収入の増加も狙う。

 北九州市は事業者からの提案を10月3日から18日まで受け付ける。その後に審査・評価・ヒアリングを経て、2017年1月下旬以降に発電事業者を選定する予定だ。評価項目は発電事業の実施方針や実施体制のほか、占用料の提案額や地域貢献のプログラムなど35項目にわたる。国内外で10MW以上の風力発電所を建設・運営した実績があるか計画に着手していることも応募の条件になる。

 響灘の沖合は環境省が風力発電の適地に選定して、大規模な風力発電所の建設前に必要な環境影響評価の調査費を補助している。この補助金を受けて北九州市が鳥類や海洋生物に対する影響をはじめ、景観や低周波音について調査を実施した。調査結果のデータは公募で選ばれた事業者に提供することになっていて、通常は3~4年かかる環境影響評価の期間を短縮できる見通しだ。

年間の平均風速は7メートル/秒を超える

 北九州市の響灘の沖合では、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が2011年度から洋上風力発電の実証研究に取り組んでいる。陸地から1.4キロメートル離れた海域に、発電能力が2MWの大型風車と風況観測タワーを運転中だ。海底に設備を固定する着床式の洋上風力発電では日本の先駆けになるプロジェクトの1つである。

 この実証研究を通じて、響灘の沖合が洋上風力発電の適地であることが確認できている。NEDOが公表した2013年の実証データによると、発電量を左右する平均風速は風が弱まる夏の時期でも風力発電に必要な5.5メートル/秒を確保できる。風が強まる冬には8.8メートル/秒に達して、年間の平均値でも7.1メートル/秒を記録した。

 良好な風況によって、実証研究設備が発電を開始した2013年6月から1年間の発電量は444万kWh(キロワット時)になった。設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は28.5%で、陸上風力の標準値20%を大幅に上回り、洋上風力の目標値である30%に近い水準を実証した。

 新たに北九州市の公募で建設する大規模な洋上風力発電所が完成すると、発電能力を50MW、設備利用率を30%で計算すると、年間の発電量は1億3000万kWhになる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して3万6500世帯分に相当する。現在の洋上風力発電の買取価格(1kWhあたり36円、税抜き)を適用した場合には、年間の売電収入は47億円にのぼる。

最終更新:8月30日(火)13時25分

スマートジャパン