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初公判、9月21日に決定 天竜川下り船転覆事故

@S[アットエス] by 静岡新聞 8月30日(火)7時36分配信

 2011年8月に浜松市天竜区の天竜川で5人が死亡した川下り船の転覆事故で、業務上過失致死の罪で在宅起訴された運営会社の天竜浜名湖鉄道の安全統括管理者だった元営業課長(58)、元船頭主任(67)、元船頭(66)の3被告=いずれも同市=の初公判が9月21日に開かれることが29日、静岡地裁の公判前整理手続きで決まった。

 代理人の弁護士によると、公判は4~5回程度開かれる。10月31日に結審し、年内にも判決が言い渡される見通し。事故発生から5年を経て、ようやく刑事責任の審理が始まる。弁護側の情状証人として、不起訴処分となった同社の元社長が出廷する見込み。

 3被告は15年3月、静岡地裁に起訴された。証拠や争点を事前に整理する公判前整理手続きは1年余りにわたり長期化。それぞれの役割が異なり、多くの証拠を絞り込む作業に時間を要したとみられる。同手続きでは元営業課長、元船頭主任と元船頭の公判を途中から分離することも確認した。

 起訴状によると、元営業課長、元船頭主任は川底から急激に水が湧き上がる「噴流」の危険を回避するための訓練などを実施せず、事故を未然に防ぐ注意義務を怠ったまま川下り船を運航させたとされる。元船頭は、事故で死亡した船尾側の船頭=当時(66)=が適切に操船すると信じ込み、前方の航路の状況をよく見ず、船が転回した際に危険を避ける具体的な指示を与えなかったとされる。これらの過失により、11年8月17日、船を岩壁に衝突させて転覆させ、乗客ら5人を溺死させたとされる。



  ■「予見可能性」判断が焦点

 静岡地裁で9月21日に始まる天竜川下り船転覆事故の公判では、実際に船に乗っていた元船頭だけでなく、運航の安全を確保する立場だった天竜浜名湖鉄道の元営業課長と元船頭主任の過失責任も問われる。事故や乗客の危険性をあらかじめ認識する「予見可能性」をどう判断するかが焦点となりそうだ。

 川下り船には2人の船頭が乗船。被告は船首側で主にガイド役を、事故で死亡した船頭は船尾側でかじ取り役を担当していた。

 死亡した船頭の実践経験は浅かったとされ、検察側は被告が航路の安全確認やかじ取りの補助など、事故を未然に防ぐ注意義務を怠ったとみている。

 事故現場は、川底から急激に水が湧き上がる「噴流」が発生する地点。元営業課長と元船頭主任は転覆船に乗っていなかったが、検察側は過去にも噴流の影響で船が転回し、岩壁に衝突する危険があった点を重視。「事故や乗客の危険を予見することは可能だった」と主張するもようだ。

 代理人の弁護士によると、元船頭主任は無罪を主張し、過失の有無を争う見通し。元営業課長と元船頭は起訴内容を認める方針で、量刑が争点となる。



 <メモ>天竜川下り船転覆事故 2011年8月17日、浜松市天竜区の天竜川で乗客21人と船頭2人が乗った川下り船が岩場に乗り上げて転覆、乗客4人と船頭1人が死亡した。国が再発防止に向けて川下り船の安全対策ガイドラインをまとめるなど全国に波紋を広げた。運営会社の天竜浜名湖鉄道は12年3月末で川下り事業を廃止した。県警は14年2月に業務上過失致死傷の疑いで当時の社長ら5人を書類送致し、静岡地検は15年3月に業務上過失致死の罪で同社の元営業課長ら3人を在宅起訴した。

静岡新聞社

最終更新:8月30日(火)7時36分

@S[アットエス] by 静岡新聞