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千代翔馬“ウルフの教え”胸に幕内定着へ

スポーツ報知 8月30日(火)6時5分配信

 日本相撲協会は29日、大相撲秋場所(9月11日初日・両国国技館)の新番付を発表した。7月31日に亡くなった元横綱・千代の富士の先代・九重親方(享年61)が育てた最後の幕内力士として新入幕を果たした千代翔馬(25)=九重=は、“ウルフの教え”を胸に幕内定着に挑む。同じく新入幕の天風(あまかぜ、25)=尾車=は、しこ名の下の名前を師匠の尾車親方(元大関・琴風)の本名「浩一」に改名。十両優勝した先場所に続く快進撃を目指す。

 番付表の一番上に自分のしこ名が載り、モンゴル出身の千代翔馬は先代の偉大さを改めて認識した。「日本の有名なスターに今まで指導してもらった。それは心の中から離れることはない」。最後に交わした言葉は、先代親方が休場した名古屋場所4日目の朝。「自分を信じて頑張れ」。この一言が3連敗スタートの悪い流れを止め、最終的に9勝6敗で幕内力士の座をつかんだ。

 体重は幕内最軽量の130キロ。その数字も決してハンデとは思わなかった。「体を大きくするのは力をつけてからだ。体だけじゃない、頭で相撲を取るんだ」。120キロ台の軽量で時代を築いた「昭和の大横綱」の教えを自分で解釈した。連日連夜、現役時代の千代の富士の映像を見て取り口を研究。無料通話アプリのLINEを通じて先代から届くアドバイスもふまえて翌日の稽古で実践した。

 入門当時は付け人として指導した九重親方(元大関・千代大海)は「ウチの関取では珍しく師匠がよく褒めた。一番稽古するし相撲っぷりがいい」。弟子にはダメ出しの連発だった大横綱も、稽古熱心な素直さを認めていた秘蔵っ子だ。

 先代は力士の正装である紋付き羽織袴(はかま)も用意してくれた。その紋は千代の富士のニックネームの「ウルフ」の図案が入っているが、本当の形見は違う。「親方は物ではなく人生に残る物を教えてくれた。相撲だけじゃなくて人生は長い、どうやって生きていくのかということをです」。入門から7年で到達した幕内の土俵に恩人から継承した生きざまを反映させる。(網野 大一郎)

 ◆千代翔馬 富士雄(ちよしょうま・ふじお)本名・ガンバータル・ムンクサイハン。1991年7月20日、モンゴル・ウランバートル市生まれ。25歳。08年3月に来日し、同年6月に明徳義塾高相撲部に入部。09年4月に中退し、元横綱・朝青龍の紹介で九重部屋に入門。翔馬で初土俵を踏み、10年名古屋場所の三段目昇進を機に先代親方が現しこ名に改名。得意は押し、左四つ、寄り。183センチ、130キロ。

最終更新:8月30日(火)6時5分

スポーツ報知