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データから読み解く!阪神がCS争い勝ち抜くには…甲子園での残りG戦は全勝あるのみ

デイリースポーツ 8月30日(火)11時0分配信

 「セイバーメトリクスで占う鳥越規央の傾向と対策」

 間もなく優勝が完全に消滅するという瀬戸際に追い込まれた阪神タイガース。かくなる上はクライマックス・シリーズ進出からの日本シリーズ制覇を目指すことになるのでしょうが、9月の戦いはその下地固めとなります。

 しかも本拠地・甲子園での試合が14試合も組まれており、有利な展開が期待できそう…と、普通ならそうなるのでしょうが、今季のタイガースの甲子園での勝率は・417。「セ・リーグで最も地の利を生かせてないチーム」となっています。

 データで検証しますと、FIP(※1)と防御率の乖離(かいり)に見る守備力不足、そして長打率と打率の差で計るIsoP(※2)から露呈される長打力不足が原因と思われます。

 IsoPは甲子園だけでなく、ナゴヤドームでも他球場に比べて極端に低くなっています。本塁打不足はもとより、インフィールドの広さを利用した二塁打、三塁打が出ないというのは、スペースを意識して長打を狙うバッティングができていないことの証左でしょう。

 甲子園で勝ち越しているのは、DeNA、中日、オリックスのみ。対広島戦は2勝7敗、巨人にいたっては6敗1分けと倒すどころか倒されてばかりです。その巨人とは9月に甲子園で6回対戦します。ここで全勝する覚悟で取り組まなければ、CS争いからも脱落するでしょう。

 田口とは甲子園で3回対戦し0勝2敗、防御率1・40。ただしWHIP(※3)が1・29、FIPが3・79と、そこまで抑えられているわけではありません。

 ただ残塁率(LOB%=※4)が93・5%とあと1本が出ずに苦しんでいるもよう。これを打開するためには、データを踏まえて、連打で打ち崩せるような打線の構築が不可欠です。

 なお、田口に対する打率で見ると、中谷が・625、福留が・538、陽川が・400、江越が・333と得意としています。彼らを上位に固めた打線で対戦するといったような工夫は必要でしょう。

 シーズン中に蓄積されたデータを駆使して、終盤戦を地元の虎ファンの大声援を背に受けて戦い抜きましょう!(統計学者)

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 ※1=FIP 奪三振、与四死球、被本塁打という明らかに投手の責任だと考えられる数値をもとに出した「投手力」の指標。

 ※2=IsoP たとえばDeNA・筒香は.349、ヤクルト・山田は.324という数値。対して阪神勢ではゴメスが.180、福留が.138。

 ※3=WHIP 安打と四球で1投球回あたり許した走者の数値。死球や失策などは除く。

 ※4=LOB率 投手が許した走者のうち、ベース上に残った割合の数値。投手の粘り強さを示すデータの1つで、数値が高いほど失点は少ないことになる。

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 鳥越規央(とりごえ・のりお) 統計学者。大分県中津市出身、47歳。野球統計学(セイバーメトリクス)を駆使した著書は『本当は強い阪神タイガース』(筑摩書房)『勝てる野球の統計学』(岩波書店)など多数。所属学会はアメリカ野球学会、日本統計学会など。日本セイバーメトリクス協会会長。

最終更新:8月30日(火)11時39分

デイリースポーツ

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