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「ラジオ塔」子ども会の体操で復活 岡山の公園、住民が復元

山陽新聞デジタル 8月30日(火)8時30分配信

 岡山市北区津倉町の上伊福西公園で長年使われていなかった「ラジオ塔」が今夏、津倉町町内会の子ども会のラジオ体操で“復活”した。ラジオが高価で一般家庭に普及していなかった昭和初期に設置され、放送を流していたという。放送設備は撤去されているためラジカセで代用し、扉などは住民の手で復元した。同町内会は「県内でも珍しい文化遺産を後世に伝えたい」と意欲を燃やす。

 NHK放送博物館(東京)などによると、ラジオ塔はNHKや自治体が各地に設置。1941年時点で全国に約450基あったが、戦時中の物資不足を補う金属回収で受信機やスピーカーといった放送設備が撤去され、次第に姿を消していったという。

 同公園のラジオ塔はコンクリート製で高さ約3メートル。何のための構造物なのか住民のほとんどが分からない状態になっていたが、地元で写真店を営む中田昭久さん(75)が昨年、無線の専門誌にラジオ塔として紹介されているのを見つけた。

 中田さんから話を聞いた町内会役員が調査し、県内で現存しているのは最上稲荷(同高松稲荷)と津倉町の2基といった記述が本やインターネットにあることを確認。町内会は保存と活用に乗り出した。6月に6人の担当チームを立ち上げ、汚れを落とし、なくなっていた窓や扉は住民の記憶を頼りに復元した。

 建設時期や経緯について記録がないが、チームの1人の小槇章生さん(68)は「80代の高齢者が『終戦より前に放送を聞いた記憶がある』と言っていた」と説明。ラジオ体操に参加した小学6年の男子(12)は「珍しい塔が地元にあるのはうれしい」と話す。

 町内会は今後、受信機やスピーカーも復活させたい考え。小槇さんは「放送設備が整えば活用方法も広がる。昭和の歴史が感じられるラジオ塔を大切に守っていきたい」としている。

最終更新:8月30日(火)8時30分

山陽新聞デジタル