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【千葉魂】 大打者から開眼のヒント 平沢「毎日が勉強の連続」

千葉日報オンライン 8/30(火) 11:39配信

 スタメンではない時はベンチ裏のミラールームで出番を待つ。素振りやトス打撃を繰り返す選手もいれば、入念にストレッチをする選手もいる。ルーキーの平沢大河内野手も、そこでバットを振り、気持ちを高めながら首脳陣から指示が飛ぶのを待っていた。QVCマリンフィールドでナイトゲームが行われていたある日。福浦和也内野手とその場で、二人になった。若者が必死にスイングをする様子をジッと見ていたベテランはポツリと話しかけた。

 「もっとタイミングを早くしてもいいかもしれないね」

 これまでも会話をする機会はたくさんあった。ファームにいた時も同じく2軍で調整をしていた福浦選手とは話をする機会には恵まれていた。それでも、それはたわいもない話ばかり。野球の技術論を耳にしたのは初めてだった。「どういうことですかね?」。思わず、聞き返した。

 「もっと始動を早くしてみたら。体重移動を気持ち早めにして、打つか、打たないかを決めるのは体重が左の股関節に乗った時に決めても、まだ間に合うのじゃないかな」

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 1軍昇格後、1軍のストレートのキレに戸惑った。振り遅れたり、力負けをした。ストレートに打ち負けないようにと意気込むと、今度は緩急で封じられ、バットは空を切った。相手ピッチャーに遊ばれているように、三振を繰り返していることが悔しかった。そんな中、なんとかしようと試行錯誤を繰り返している姿をプロ23年目、通算2000本安打を目前に控える大打者は静かに見守っていた。平沢が打席に入る時は、ベンチで注視していた。「いい素質を持っている選手だよ。あとはちょっとしたことじゃないかな」。そう思っていたからこそ、悩める若者の少しばかりのヒントになればと声を掛けた。それは自身が大切にしているタイミングの話だった。1分間にも満たない短い時間でのワンポイントアドバイス。だが、同じ左打者の憧れのバッターからの助言に平沢は、ひらめいた。氷山の一角ではあるが、打撃の奥義を聞かされ、脳が活性化するかのように頭の中で新たなタイミングの測り方のイメージが湧いた。

 「言葉でいうのは難しいのですが、今までは始動からスイングまで一連の動作でパパッと素早く行っていた。それを、始動をまず早く行って、体重を後ろに残した状態を長くつくる。そこからボールを待って、振る時は思いっきり振ることでタイミングを作りやすくなる。ボールを見ることもできる。今まで意識したことはないことだった。こういう風に打てばいいのかと気付かされた気がしました」

 8月17日のイーグルス戦。地元である杜の都・仙台でスタメン出場をすると、プロ24打席目に記念すべき初ヒットは生まれた。フォークをとらえると、打球は中前にポトリと落ちた。20日のライオンズ戦(西武プリンスドーム)では、あわや本塁打のプロ初適時二塁打。23日のファイターズ戦ではホームで初安打(適時打)を放った。初ヒットから、6試合連続安打。一つのヒントから若者は多くのことを吸収し、自分の糧とし成長しているように見えた。

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 「チームの皆さん、先輩方は優しくていつも、たくさんの方から、いろいろとアドバイスを頂いています。20歳以上、年が離れている方と一緒に野球をしたことはこれまでなかったので、本当に不思議な感じですが、毎日が勉強になることの連続。皆さんの動きとかをしっかりと見て、いろいろと吸収したいと思っています」

 1軍の中での唯一の未成年。昨年まで高校生だったバッターは、その中でメキメキと頭角を現そうとしている。先輩たちの打撃、守備、野球への心構え、練習法などを必死に観察をしている。助言をもらったり、時には苦言を呈されることもある。それらを自分なりに理解し、反省し、未来の自分に生かそうとしている。だから、いつも誰よりも遅くロッカーを後にする。打ち込みやストレッチ、ウエートを行い、首脳陣から指摘されたその日の反省を整理してようやく帰路につく。目指すは背番号「9」のようなマリーンズを代表する大打者となり、ファンに愛される選手になること。そのためには誰よりも多く汗をかき、努力をしないといけないということはその背中を見ているから分かる。大きな目標を追いかける挑戦の旅はまだ始まったばかり。可憐な大きな花を咲かせるべく、今は土壌を作る日々だ。

 (千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

最終更新:8/30(火) 11:39

千葉日報オンライン

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