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地村保志さん「拉致風化」危惧 政府制作映像上映会で訴え、福井県敦賀市

福井新聞ONLINE 8/30(火) 10:23配信

 北朝鮮による拉致問題に国民理解を深めようと、政府の拉致問題対策本部は新たな啓発映像作品「メッセージ~家族たちの思い」を制作し29日夜、初回上映会を福井県敦賀市福祉総合センターで開いた。小浜市の拉致被害者、地村保志さん(61)が観覧に訪れ「拉致の問題が風化してきている。皆さんの力で働きかけを」と市内外の来場者約200人に呼び掛けた。

 拉致問題は今年2月、北朝鮮が2014年の日朝合意に基づく再調査を一方的に中止し、進展のない状況。政府は従来の啓発映画や演劇に加え今回、横田めぐみさんの母早紀江さんら拉致被害者家族4人のメッセージを、女優の紺野美沙子さんらが朗読する作品を制作した。

 県が同本部とともに初回上映を企画。早紀江さんの「時々お母さんはあなたのピンクのタオルケットを着て寝ます」といった家族の切実なメッセージが胸に迫る語り口で、約20分間にまとめられている。

 地村さんは支援組織救う会福井の森本信二会長(60)ら4人とともに訪れ、上映後は自ら手を挙げ発言。「帰国した当時は街を歩くたびに『あの地村さん』という声を聞いたが、近年では少なくなった」と風化への危機感を募らせ「いかに一人でも多くの生存者に一日も早く帰ってもらえるか。そのために問題を風化させることなく、皆さんの力で働きかけをしていだきたい」と訴えた。

 地村さんが市役所退職後、多くの聴衆に訴えるのは初めてといい、この日会場に招かれた拉致被害者家族連絡会の飯塚繁雄代表(78)は報道陣の取材に「よくしゃべってくれた。注目される立場で影響力もあり、一緒に活動したいと思った」と発言を歓迎。また福井県に、拉致された疑いの排除できない特定失踪者がいることについては「各県の失踪者家族も一緒に活動してもらえたら」と、取り組みの広がりに期待を示した。

 地村さんは上映会の後、記者団に対して「(政府が日朝交渉をする際)北朝鮮のミサイル問題か拉致か、どっちを優先するかは難しいが、拉致問題を一番に取り上げてほしい」と訴えた。

 ミサイル問題をめぐっては国連安全保障理事会が、北朝鮮による24日の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射を強く非難する報道声明を発表。こうした動きを踏まえ、地村さんは「(現在の)世界的情勢からみるとミサイル問題が重視されている傾向にある」とし、拉致問題の風化に強い危機感を示した。

 第2回上映会は12月に福岡県久留米市で予定している。

福井新聞社

最終更新:8/30(火) 10:23

福井新聞ONLINE