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<河川敷16歳殺人>過去の悪口めぐり暴力激化も 友人ら癒えぬ傷

埼玉新聞 8月30日(火)22時42分配信

 「気付いてあげられれば」「翼がいないと寂しい」。埼玉県東松山市の都幾川河川敷で井上翼さん(16)の遺体が見つかった事件から1週間が経過し、友人は癒えぬ傷を抱えている。発生から毎日、現場に訪れては井上さんに会いに行く日々を過ごす。

 友人らによると、事件前の17日、井上さんは友人と海に行くため、5月ごろから知り合ったとされる無職少年(17)にバイクを借りようとした。しかし荒天のため、友人を交え、17歳の少年を含む少年らで温泉など行き、大半の時間を過ごすことになった。

 井上さんは17日から少なくとも20日午前4時ごろまでは少年たちと行動を共にし、そのまま、中3の少年(15)の自宅に泊まりに行ったという。友人はその後、井上さんと会っていない。少年たちと過ごした期間、井上さんはどのような思いをしていたのか。

 一緒にいた友人によると、主に17歳の少年による井上さんへの暴力が激しくなったのは、18日にラーメン店の駐車場で起きたトラブル以降。共通の知人が以前、17歳の少年に対する悪口を言ったかどうかという問題で、井上さんと知人の言い分が食い違った。知人と17歳少年が井上さんを殴ったが、目撃した店員に止められて暴力は治まった。しかし、17歳の少年は井上さんに、「お前、まだ終わってないからな」と言っていたという。

 翌19日、井上さんは17歳の少年にたばこを押し付けられたり、殴られていたという。夜には「帰りたい」「帰る足がない」と友人にこぼしていた。友人は「トラブル以降、翼は全然楽しそうじゃなかった」。

 事件前日の21日、友人は井上さんとメッセージのやりとりをした。自宅に帰らない井上さんを心配すると、「(22日には)帰るよ」という返信が来た。井上さんから送られた最後の連絡は21日午後11時40分ごろ。内容はバイトに関することで、切羽詰まった様子はなかった。翌22日午後10時半すぎ、友人が井上さんに連絡をすると既読はつかず、電話にも出なかったという。

 「気付いてあげられればよかった」「心配かけたくなかったのかな」。毎日のように連絡を取り合っていた友人の元に、井上さんからのメールはもう来ない。友人たちは悔しさを抱え、現場で手を合わせ続けている。

最終更新:8月30日(火)22時49分

埼玉新聞