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巨人・坂本、停滞から脱却か? 打者としての進化裏付ける大きな変化とは

Full-Count 8月30日(火)13時27分配信

より「強く」「遠くへ」― 坂本の好調を支える“変化”とは

 巨人・坂本勇人が好調を維持し、首位打者獲得も視界に入ってきた。本塁打では2010年の31本、打率では2012年の.311をピークにここ3年は打撃成績を落としており、停滞感は否めなかったが、今季はそれを払拭し、頼りがいのある主軸として活躍している。

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 ある報道によると、昨季216安打を放ったヒットメーカー、西武の秋山翔吾からアドバイスを受け、スイングの軌道をアッパー気味に調整したとも伝えられている。そのあたりが好調に影響しているのだろうか? 坂本の打撃データを多角的に分析し、好調の理由を探った。

 まず、今季の坂本の大きな変化としてうかがえるのが、フライ打球の質的な変化だった。3つの数字を挙げたい。

 昨季までの坂本のフライは、内野へのポップフライが多かったが、それが減少したとみられる。すべてのフライ(※1)のうち、内野に飛んだフライの割合を示す内野フライ%(※2)は、昨季の11.7%から5.9%へと半減した。

 さらに、外野に飛んだフライ(※3)がアウトになった割合、外野フライアウト%は73.9%から70.6%に減少。つまり、より多くの外野フライがヒットになっている。また、全てのフライ打球に占める本塁打の割合(HR/FB:Home Run to Fly Ball rate)を、6.1%から11.9%へと倍増させてもいる。

 この3つの数字の変化から推測できるのは、坂本のフライが「強く」「遠くへ」飛んでいるということである。

来年以降の活躍も期待できることを示唆する“兆し”とは

 3つの数字が示唆する坂本の変化を、打球の分布図からも見てみよう。

 昨季(2015年)と今季(2016年)、坂本が放ったゴロを除く全飛球(フライ+ライナー)の「落下地点」「滞空時間」「結果」を図示したのが2つの図だ。

 今季の分布図はシーズン途中のものであり、打球の合計数が異なるので少しわかりにくいが、赤い×印で示した滞空時間4.5秒以上をかけて捕球された飛球などが、打席に近い位置で減少している様子が見て取れる。

「滞空時間3秒以上の飛球(赤とオレンジのプロット)」について見たとき、図でグレーの地色を敷いたゾーンに飛んだ、「内野のやや後方までのゾーンに飛んだ」ものは、昨季は全体の31.1%、今季は17.6%と減少としている。内野に上がるポップフライは、間違いなく減っているようだ。

 また遠くに飛ばしているだけでなく、飛球が安打になるケースも増えていた。昨季、滞空時間3秒以上を記録した飛球は196本あり、そのうち安打になったのは39本(19.9%)。今季は139本のうち45本(32.4%)が安打になっている。

 坂本の飛球が「強く」「遠くへ」飛んでいることは、打球の分布状況からも見て取ることができる。

 もちろん、このデータだけでは「内野フライにしてしまっていた球を、外野にまで運ぶことで安打が増えた」と言い切ることはできない。「内野フライの減少」と「外野へのフライの増加」という結果の互いの関係性までは確認できないからだ。

 それでも、ポップフライが減り、外野への飛球が増えれば、安打、特に長打が生み出される可能性は高くなることが多く、悪くない傾向といえる。坂本の今季の好成績が1年限りのものに終わらず、来年以降も継続しそうであることを示唆する、ひとつの兆候ではある。

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最終更新:8月30日(火)13時49分

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