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社説[高江資材 自衛隊空輸?]どこからそんな発想が

沖縄タイムス 8/30(火) 7:45配信

 本土ではしないことを、沖縄では何が何でもやる。米軍の意向は重視するが、選挙で示された住民の意向は顧みない-その典型的な例が「高江」「辺野古」である。

 米軍北部訓練場で進められているヘリパッド建設工事の大幅な遅れを取り戻すため、沖縄防衛局は「H」「G」「N1」の3地区の工事を同時に進めるほか、自衛隊ヘリを投入して資材空輸に当たらせることも検討しているという(28日付本紙1面)。

 「自衛隊機使用のハードルは高い」と防衛省関係者も認めてはいるが、大きな政治問題に発展しているヘリパッド建設工事に自衛隊機を投入するという発想自体に驚きを禁じ得ない。

 自衛隊投入の話は今回が初めてではない。防衛省は2007年5月、キャンプ・シュワブ沿岸部に海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」を停泊させ、環境アセス法に基づかない大規模な現況調査(事前調査)を実施した。サンゴの産卵状況を調べるため着床具を設置する作業を海上自衛隊の隊員が支援したのである。

 04年のボーリング調査の際、海上での反対行動にあった防衛省は、海上保安庁に強制排除を依頼したが断られたため、自衛隊の艦船を投入し、自衛隊法第82条に基づく「海上における警備行動」を発動することも検討していた(守屋武昌・元防衛事務次官「『普天間』交渉秘録」)。

 権力は抑制的に行使しなければならないというのが歴代保守政権の知恵だったはずだ。工事を中断し、説明責任を果たすべきである。

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 海上保安庁は07年度以降、中城保安署を保安部に格上げするなど職員を大幅に増やし、海上での抗議行動を力ずくで排除する方針に転換した。そして今年7月22日。政府は全国から約500人の機動隊員を投入し、ヘリパッド建設工事に着手した。

 米軍属による女性暴行殺人事件を受け政府が警察官100人の増員や「沖縄・地域安全パトロール隊」の創設などの再発防止策を打ち出したのは6月3日のことである。

 ところが、防衛省の呼び掛けで全国の地方防衛局から沖縄に派遣された職員は、「米軍関係者による悲惨な事件を二度と繰り返さない」ための防犯パトロールには参加していなかった。

 高江周辺でヘリパッド建設に反対する住民の行動を監視し、警戒する業務にあたっていたのだ。「増員される100人の警察官」は、果たしてどのような業務に従事するのか、政府の説明が必要だ。

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 高江では着工後、作業ヤードなどを確保するため立木の伐採が続いている。3地区で同時に工事を進めれば、住民生活や野生動物へのさらなる影響は避けられない。07年に防衛局が提出した環境影響評価図書は「動物の影響をより少なくするため1地区ずつ実施する」としており、3地区同時進行を想定していない。

 「いざとなれば自衛隊ヘリで資材を空輸」という考えがあるとすれば、あまりにも安易な発想だ。沖縄戦を体験した県民の傷口に塩を塗るようなものである。

最終更新:8/30(火) 9:40

沖縄タイムス