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いのちの電話 35年前の歌保管

紀伊民報 8月30日(火)16時35分配信

 ♪いのちの電話は心の電話 流す涙は明日への希望♪ 和歌山県白浜町の名勝「三段壁」に設置されている「いのちの電話」を曲名にした35年前のレコードを、同町椿の吉田恭子さん(87)が保管している。吉田さん自身が作詞しており「三段壁が恋人の聖地に認定されたと新聞で知り、レコードのことを急に思い出した」と話す。作詞を思い立った背景には、自殺を思いとどまった人との心温まる交流があった。

 同町での「いのちの電話」の活動は1979年当時、白浜バプテスト基督教会の牧師だった江見太郎さん(85)=岡山市=が始めた。自殺を考えている人の相談に電話で応じ、水際で思いとどまってもらおうと取り組んだ。

 江見さんの活動は99年まで続き、その後は藤藪庸一牧師(43)と藤藪牧師が主宰するNPO白浜レスキューネットワークが受け継いでいる。

 吉田さんと吉田さんの知人らは、江見さんが「電話」の活動をしていたころ、保護した人を泊めたり、食事や衣類を提供したりして江見さんの活動を支援していた。

 吉田さんによると、ある時、2人の子を連れた母親から「いのちの電話」で江見さんに連絡が入り、江見さんが三段壁で3人を保護した。話し合った末、母親は白浜温泉街で働くことになり、男女2人の子どもの世話は江見さんが引き受けた。

 吉田さんは「母親は子と一緒に死のうと思っていたが、子らが反対したため思いとどまった。こんな経験から、自殺志願者に思い直してほしいとの願いを込めて詩を書いたのを、江見さんが『レコードにする』といい、作っていただいた」と話す。

 レコードはEP盤(直径17センチ)で、当時、大阪府内にあったレコード会社が制作したという。同社所属の音楽家が作曲と演奏、歌を担当した。盤面の状態が良くなかったため、吉田さんがこのほどCDに収録し直し、いつでも聞けるようにした。

最終更新:8月30日(火)16時35分

紀伊民報