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デルのEMC買収でVMwareは変わる?ゲルシンガーCEOに聞いた

アスキー 8月31日(水)8時30分配信

米ラスベガスでVMwareが開催している「VMworld 2016」において、VMwareのパット・ゲルシンガーCEOと、デル・テクノロジーズのマイケル・デルCEOの2人が揃って、プレスカンファレンスに登場した。記者からは、デルによるEMC買収に伴う、VMwareの独立性の維持や今後の成長戦略などに関する質問が飛んだ。質疑応答の内容を紹介する。
米ラスベガスでヴイエムウェアが開催している「VMworld 2016」において、ヴイエムウェアのパット・ゲルシンガーCEOと、デル・テクノロジーズのマイケル・デルCEOの2人が揃って、プレスカンファレンスに登場した。VMworld 2016の会期中には、残されていた中国における競争法当局の審査が完了したことが発表され、9月7日を目標に統合が行なわれることになった。記者からは、デルによるEMC買収に伴う、ヴイエムウェアの独立性の維持や今後の成長戦略などに関する質問が飛んだ。質疑応答の内容を紹介する。(以下、敬称略)
 

デルの一員になったほうがメリットがある
--ヴイエムウェアの独立性は、これからも維持されることになるのか。
 
ゲルシンガー:デルは、引き続き、ヴイエムウェアの独立性を継続することを明らかにしている。取締役会も、顧客も、エコシステムも独立したものになる。その一方で、デルによるエコシステムのサポートや、拡張にも取り組むことができる。製品、技術をいっしょに開発し、共同でイノベーションを起こせるというメリットもある。
 
デルは、VxRailやVxRackといった製品を市場導入することにもコミットしており、今回のVMworldで発表したVMware Cloud Foundationを使い、よりよい製品に進化させる。デルとの協力関係とともに、独立したエコシステムを活用することで、ヴイエムウェアの事業を加速することができる。これにより、今後数年で、10億ドルの売り上げ増加が見込まれる。私自身は、デル・テクノロジーズの一員となったほうが、メリットがあると感じている。
 
--どんな点でメリットがあるのか。
 
ゲルシンガー:10億ドルという数字は、ヴイエムウェアの製品ポートフォリオや事業機会、今後の市場性などを細かく判断して試算した。新製品の影響だけでなく、製品に対する管理機能の強化や、デルが販売しているサーバーやストレージにヴイエムウェア製品を搭載することでの売り上げ増加も期待できる。Windows 10搭載PCや、WISEによるシンクライアントにおいても、ヴイエムウェアの製品が威力を発揮する場面は少なくない。
 
また、ヴイエムウェアにとっては、通信事業者の市場も大きい。数年前までは、通信事業者向けには、社内情報システムにおける貢献しかなかったが、NFVによって、通信事業者のビジネスそのものにわれわれの製品が活用されるようになってきた。Air Watchはその代表的製品だといえる。バーチャルネットワークに対する需要も高まっている。そうした領域にもフォーカスしていくことになる。さらに、今後の製品化に向けて、温めているイノベーションもある。
 
現在、売上高が70億ドルの会社が、これから数年で10億ドル増やすということは大きな挑戦になるが、デルという大きな会社がそれをバックアップしてくれる。両方のいいところが一緒になるという関係である。HPやレノボ、パロアルトも買収によってベネフィットを出すだろうが、デルとの関係は、われわれにとって、プラス効果が大きいと考えている。
 
--サーバー、クラウド領域における、デルとマイクロソフトの関係にはどんなインパクトがあるのか。
 
デル:ヴイエムウェアは、オープンエコシテスムを展開し、さまざまな業界の人たちと一緒になって、50万の顧客が、ヴイエムウェアの製品やソリューションを活用できるようにしている。これと同じように、デルとマイクロソフトもオープンエコシステムを採用している。そして、マイクロソフトだけでなく、レッドハットとも関係を維持している。デルは、これからも幅広い会社と、一緒に展開していく。われわれの業界の特徴はオープンであり、選択肢を提供するところにある。そうした柔軟性を持つ企業が成功をしてきた。デルは耳を傾ける会社であり、顧客のニーズがなにかを理解しようとしている会社である。たくさんのパートナーシップがあるのは、顧客のニーズに応えるためであり、その関係はこれからも変わらない。
 
ゲルシンガー:ヴイエムウェアにおいても、マイクロソフトとのパートナーシップが増えている。Windows 10を管理するにはAir Watchが最適であり、Cross-Cloud Servicesにおいても、Microsoft Azureが対象になってくる。エンタープライズユーザーが、もっとAzureを活用できる環境を、ヴイエムウェアが提供することになる。ある面では競合するが、別の側面では協力するの関係にある。顧客からすれば、信頼できるビッグベンダー間で協力をしてもらいたいという要望があり、そうした関係が作れると考えている。
 
世界最大のITベンダーは俊敏性を維持できるのか?
--デルは、世界最大のITベンダーでありながら、一方で俊敏性を維持するといっている。どうやってこれを両立するのか。
 
デル:デル・テクノロジーズは、非上場企業であり、上場企業が直面するような課題はない。一方、ヴイエムウェアは上場企業であり、それはこれからも維持することになる。デル・テクノロジーズのなかにあるSecureWorksも上場企業であり、これもその体制を維持することになる。
 
 デル・テクノロジーズが非上場企業であるということは重要なことである。また、最大規模のサプライチェーンを有し、Go Toマーケットのエンジンでも世界最大規模を誇る。こうした大きなスケールを維持しながら、柔軟性を持つことができ、長期的視点での投資が可能になる。デル、EMC、ヴイエムウェアによって、エンタープライズ分野におけるイノベーションにおいて、他に例を見ないものを実現できる。また、デルでは、社内ベンチャーを立ち上げており、新規分野で急成長させる体制を作っている。Pivotalもそのひとつであり、Boomiもそうである。これも機敏な体制を維持することにつながっている。
 
ゲルシンガー:ヴイエムウェアは、デルと一緒になることでもっと早く成長することができると考えている。たとえば、デルはインド市場における浸透率が高い。それを活用することで、独自の力ではできなかったスピードで、ヴイエムウェアはインド市場に展開することができる。デルのリーチ力を活用することで、小さな都市に向けても、俊敏性を持って展開できる。それが、ヴイエムウェアの成長につながると考えている。
 
その一方で、ヴイエムウェアが独立性を維持することも、意思決定を速めることにつながり、俊敏性の実現につながる。顧客、市場、技術トレンドを理解した専門集団が、ヴイエムウェアのビジネスをドライブしていくことになり、その後ろには大きな力を持った企業があり、われわれを応援してくれている。大手のエンタープライズ企業は、信頼でき、スケールの大きな会社を求める。クールな技術を持っていることに加えて、信頼性が重要である。その点でもプラス効果がある。
 
デル:その切り口でいえば、エンジニアドソリューションの分野でも効果が出てくるだろう。VBlockやVxRail、VxRackといった製品も急成長しており、こうした製品は業界の最先端技術をソリューションとしてまとめ上げたものである。デル、EMC、ヴイエムウェアが一緒になると、まったく新しいエンジニアドソリューションが出てくることになる。これは期待していてほしい。
 
IBMとの提携、カサド氏・エッセンバック氏の離脱
--ゲルシンガー氏が新たな方向性を打ち出したいとした際に、デル氏がそれは駄目だ、という議論になることもあるだろう。どちらの意見が尊重されることになるのか。
 
ゲルシンガー:それは実話でお答えする。それは、今年2月に発表したIBMとの提携の件である。デルにとっては、IBMとは競合する関係になる場面も多い。これに関して、デル氏と話をした。そのとき、デル氏は、「ヴイエムウェアにとっていいことであれば、それはやるべきだ」と答えた。理解してもらいたいのは、ヴイエムウェアの成長を加速できること、あるいは、戦略的に意味があるのであれば、ヴイエムウェアの取締役会にかけて、速く会社を成長させるべきであるという判断が下されたという点である。これがわれわれが目指すところであり、顧客の満足度向上にもつながる。ヴイエムウェアは、今年上期も成長を遂げており、IBMとの提携の成果も出ている。しかも、この提携は、これから成長する余地が大きい。今後も、われわれは正しい決断ができると考えている。
 
--CTOのマーティン・カサド氏や、COOのカール・エッセンバック氏がヴイエムウェアを離れるなど、経営陣の変更が見られている。これはデルによるEMCの買収が影響したことなのか。
 
ゲルシンガー:人の去就には個別の事情がある。エッセンバック氏とは、2年前から話をして、いままでとは異なるライフスタイルを送りたいということで辞めることになったが、いまでもコンサルタントとしてヴイエムウェアには関わってもらっている。カサド氏は、次のキャリアにいきたいということであり、これもEMCの話とは関係がない。確かに経営陣は代わったが、第1四半期の業績は良好であり、第2四半期も予測を上回る結果であった。経営はスムースに移行しており、今回のVMworldでも新たな製品を発表することができた。
 
 
文● 大河原克行 編集●大谷イビサ

最終更新:9月23日(金)19時9分

アスキー