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岩手銀行が牽引 研究機関と民間企業を結ぶ「リエゾン-I」

ZUU online 8/31(水) 6:10配信

地域活性化の有効モデルとして、「いわて産学連携推進協議会(リエゾン‐I)」の活動が注目されている。

リエゾン‐Iとは、岩手大学、岩手銀行などが中心となって、岩手県および東北の研究機関と民間企業をつなぎ、新規事業を創出するためにさまざまなサポートを提供する試みだ。すでにスタートから12年が経過し、多くの実績も積みつつある。このリエゾン‐Iの活動について紹介しよう。

■シーズとニーズをつなぐリエゾン

「リエゾン」とは、フランス語で「つなぐ・橋渡し・絆」の意味で、「I」はIWATEの頭文字のことである。

もともとの設立目的は、大学等の研究シーズ(研究の種という意味。近い将来実を結ぶ可能性の高い技術の研究のこと)と企業の技術・製品開発等のニーズ(需要、要求)をマッチングして新事業を創出することだ。2004年5月に岩手銀行と岩手大学、日本政策投資銀行が中心となってスタートした。

その活動内容は、
1. 東北(岩手県、青森県、秋田県、宮城県)に所在する民間企業を対象に、大学との共同研究による事業多角化や新規ビジネスの創出支援と、そのための育成資金の贈呈
2. 大学内の研究シーズ集の作成
3. マッチングフェアの開催
などである。

その理念と活動成果が少しずつ地域に浸透し、現在では3金融機関と10研究機関が参画している。 連携規模は岩手県全体から東北地方に広がり、域内の創業・新事業創出のための重要施策として注目されているのだ。

■マッチングフェアで成功事例を紹介

東北地域の産学官連携を促進するため、リエゾン‐Iでは毎年「マッチングフェア」を開催している。

このフェアでは、参画研究機関等によるパネル展示や、産学連携の取り組み事例、復興促進プログラムの研究成果などを紹介する。幅広い情報の提供に加え、各種セミナーや講演会を通じて、大学の研究シーズと企業の製品開発ニーズをマッチングさせた成功事例を多数紹介し、地域の創業・新事業創出を促進している。

■新規事業に挑戦する企業に育成資金を贈呈

リエゾン‐Iの主要事業の一つが「リエゾン‐I研究開発事業化育成資金」だ。年間1,500万円、1企業200万円を上限に、「リエゾン‐I」に参画している研究機関と共同で新たな事業化に挑戦している企業に育成資金が贈呈される。

事例をいくつか紹介しよう。

● 高付加価値な熟成牛肉加工品の開発・販売・ブランド化
株式会社肉のふがね(岩手県)では、岩手大学農学部と共同で短角種の特性を活かした熟成牛肉加工品の開発・販売、ブランド化に挑戦していて、肉用牛生産者、食肉加工小売業者と連携して熟成加工品の付加価値向上に取り組んだ。あわせて東北農業研究センター、岩手県工業技術センター等と連携して品質の向上、検査体制の整備なども進め、特徴ある短角種牛肉の生産・製造の安定化と、販売体制の強化、ブランド構築に取り組み、その努力が高く評価されて育成資金が贈呈された。

● 電動アシスト自転車に実装する小型高感度の通信デバイスを開発
パソコンのシステム開発やコンテンツ企画、ホームページ制作などの事業を営む有限会社forte (青森県)は、岩手大学、地方独立行政法人青森県産業技術センターと共同で、電動アシスト自転車に実装するGPSセンサー機能付き通信デバイス(製品名:ナビチャリ)、および関連するソフトウエア・アプリケーションを開発した。

電動アシスト自転車がよく利用される郊外など人口の少ないエリアでは通信が不安定となるため、GPSサービスはなかなか利用できないのが現状だ。受賞対象となったデバイスは、小型化と感度の向上を実現するために、岩手大学で研究されていた小型・高効率アンテナ実装技術をGPSセンサーに搭載した。これにより、郊外でも電動アシスト自転車を利用しながら、周辺情報の収集やSNSへの投稿などが可能となったのである。現在では青森県内の観光協会などに導入され、レンタサイクルとして広く活用されている。

他にも、「リエゾン‐I研究開発事業化育成資金」が新規事業化の成功に結びついた例としては、株式会社アイカムス・ラボ(マイクロメカニズムの開発)、有限会社月の輪酒造店(新品種「モチ性ヒエ」を用いた醸造酒の開発)、株式会社エイワ(生体用NiフリーCo-Cr-Mo合金等の製造方法の確立と事業化)など、さまざまな分野に広がっている。

すでに13回目を数えたリエゾン‐Iの「研究開発事業化育成資金」の総数はのべ86件、総贈呈額は1億1,550万円にのぼっている。今後も同資金は、将来性のある製品と新規事業化を促進する呼び水として期待されているのだ。

■人気を集めるシーズ集

リエゾン‐Iが発行しているシーズ集も人気だ。このシーズ集は、リエゾン‐Iに参画している研究機関のシーズをまとめて、年に1回発行されている小冊子である。大学や研究機関側から一方的にシーズ情報を提供するのではなく、企業から見て使いやすいシーズ集になっていることが特徴だ。また、現在ではポケットサイズのサマリーを発刊したり、詳細をホームページに掲載したりするなど、使い勝手が向上したことで利用範囲が広がっている。

■地域振興に期待が高まる地方銀行

今回紹介したリエゾン‐Iは、すでに共同研究の成果が製品化・事業化に結びついたり、ベンチャー企業の成長促進につながったりするなど、多くの実績も上げつつある。

今後もより多数の研究機関や企業コンソーシアムによる地域資源の発掘、あるいは幅広い新規研究の企画・推進などに期待が寄せられており、地方銀行ならではの幅広いネットワークや豊富な知見が活用される場面はさらに増えていきそうだ。(提供:nezas)

最終更新:8/31(水) 6:10

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