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小池都知事が移転延期を表明、豊洲新市場の土壌汚染の経緯と現状は?

THE PAGE 8/31(水) 17:00配信

 東京都の小池百合子知事が築地市場の豊洲への移転を延期する方針を正式に表明しました。豊洲の新市場については、土壌汚染や床の耐荷重の問題など、様々な観点から指摘が行われていますが、都民の最大の関心事はやはり土壌汚染の問題でしょう。これにはどのような経緯があるのでしょうか。

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もともとは東京ガスのガス製造工場、隣は造船所

 豊洲市場の予定地は、もともと東京ガスのガス製造工場があった場所です。1954年(昭和29年)から海面の埋め立てが始まり、1956年から1988年まで都市ガスの製造が行われていました。現在の都市ガスはLNG(液化天然ガス)を使用していますから、その製造過程において汚染物質が出ることはありません。

 しかし当時の都市ガスは石炭からガスを製造する手法が用いられており、その製造過程においてたくさんの汚染物質が発生(もしくは使用)します。具体的にはタールやベンゼン、シアン化合物、ヒ素、鉛、水銀、六価クロム、カドミウムなどで、猛毒物質が多数含まれていることが分かります。今の感覚からすると少し驚く内容かもしれませんが、当時は高度成長時代ですから、こうした汚染物質の発生・使用もやむを得なかった面があるわけです。

 豊洲市場の予定地の隣は、もともと造船所があり、現在ではショッピング・センターやマンションが建っています。このエリアも以前、土壌汚染が問題視されたことがありましたが、これについては造船所を運営していた事業者が汚染対策を実施しておりすでに解決済みです。したがって、今回の新市場における汚染問題とは関係ありません。

避けて通れない土壌汚染の問題、どこまでを許容するのか

 東京都が行った調査によると、予定地全域にわたって汚染が広がっているわけではなく、ある部分に集中していることが分かっています。その場所には、製造過程で発生したタールなどが仮置きされていたことがあり、ここから汚染物質が地中にしみ出した可能性が高いとされています。

 東京都では、土壌汚染対策として2メートルまでの土壌を入れ替え、その上にさらに2.5メートルの盛り土を実施しました(場所によって多少内容は異なる)。地下水については浄化措置を行い、周囲に遮水壁を設置する工事も実施しています。土壌汚染でもっとも心配なのは、地震による液状化によって地下から汚染物質が大量にわき出てくることですが、これについても液状化対策の工事が施されました。

 ただ、地下4.5メートル以下の土壌では現在でも基準値の10倍程度の汚染物質が残存しており、移転に反対する人たちからは疑問視する声が上がっているようです。

 東京のような過密な場所では、以前、工場だった場所が住居になるケースは多く、程度の差こそあれ、土壌汚染の問題は避けて通れません。どこまでを許容するのかというのは非常に難しい問題ですが、最終的には科学的な根拠にもとづき、住民が議論することによって結論を得るしか方法はありません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:8/31(水) 17:00

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