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光岡、カワキタ……日本の高級霊柩車がアジア進出 中国では葬儀費用が高騰、平均年収の1/3に?

ZUU online 8月31日(水)7時10分配信

「日本製」という言葉が海外消費者に与える「高級感のイメージ」を利用して、新たに海の向こうへの進出に乗りだしたのが葬儀市場だ。

霊柩車製造の老舗、カワキタや特殊リムジンの製造で有名な光岡自動車は、日本の高級霊柩車を中国を含むアジアの新興国に輸出し始め、急増中の中級階層を顧客ターゲットに、市場拡大を狙っている。

■費用の高い従来型の葬儀が年々減少している日本

厚生省が発表した2015年人口動態統計によると、日本国内の死亡者は過去最高の129万428人。その7割が75歳以上の高齢者で、全体的には前年から1万7424人の増加を見せていることから、今後も上昇を続けると見こまれている。

高齢化社会にともない成長産業視されている葬儀事業だが、費用のかさむ従来型の葬儀は年々減少傾向にあり、市場における価格競争も激化しているため、想像するほど「楽々儲かる」商売ではないようだ。

光岡自動車は、アジアの中級階層が伝統的な葬儀スタイルを好むこと、中国で新たに導入された排ガス規制の基準に満たない小型トラックなどが、厳しい取り締まりを受けることなどを考慮にいれ、市場の隙間に日本の高級葬儀車への需要を見いだしたという。

8月下旬に東京で開催された「エンディング産業展2016(ENDEX)」では、トヨタの「ヴェルファイア」をベースに、車内レイアウトを自由に変えれる新型霊柩車「ヴェルファイアグランドリムジン」を発表した光岡自動車だが、日本産のハイクラスな霊柩車が、ほかのアジア諸国の消費者も魅了することを期待している。

台湾、インドネシア、マレーシア、香港などでは、小型バスで棺を運ぶという簡易的な葬儀スタイルから、霊柩車を用いた伝統的なスタイルに移行しつつあり、カワキタはこうした時代の流れを察知し、日本の高級霊柩車の需要が高まることを予測。すでにこれらの国と輸出交渉中だという。

市場が縮小傾向にある日本から、土俵を海外に拡大しようとしているのは葬儀車だけではなく、棺桶メーカーにも同様の動きが見られている。

■中国・北京、英国などでも葬儀費用が高騰

日本の伝統の象徴であるはずの葬儀産業が、海外に流出せざるを得ない背景には、「世界一高い」と形容される日本の葬儀費用問題がある。

各国の統計によると、日本の平均葬儀費用は189万円(日本消費者協会2014年調べ)と、ひと昔前よりは平均額がさがっているものの、まだまだ高額だ。この内訳には、葬儀一式の費用、寺院費用、飲食接待費用などが含まれているとはいえ、すべての残された家族が躊躇なく支払える金額ではない。

そこで簡易式の葬儀プランが注目を浴び、「家族葬(葬儀を身内だけで行う)」や「直葬(お通夜や告別式などの儀式をすべて省略する)」で故人を見送る家庭も増えているという。

しかし物価の上昇や土地不足による墓代の上昇が原因で、葬儀費用の相場が吊りあがっている国も見られる。

中国の北京などでは葬儀費用が跳ねあがり、都市部住民の平均年収の最高3分の1に値すると報じられているほか、「先進国では最も葬儀代が低い国」と報道されていた英国も、近年の平均2800ポンドから3700ポンド(約37万円から49万円)と、調査機関によって開きはあるものの、それほど安くはない。

ただし日本も英国も政府から補助金が支給される制度が導入されており、日本では「葬祭費」や「埋葬料」が東京で7万円、その他の地域では3万から5万円、英国では喪主にあたる人物の所得に応じて、最高700ポンド(約9万円)が支払われる。

両国ともに体裁にこだわらず、最も低額な葬儀プランを選べば、平均以下におさめることは十分に可能だ。

その結果、日本の伝統的な葬儀の影が年々薄くなり、「いつの間にかほかのアジアの国でしか見かけなくなった」といった切ない状況が訪れなければよいのだが。(ZUU online 編集部)

最終更新:8月31日(水)7時10分

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