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光合成する「人工の葉」、絹タンパク質に葉緑体を取り込む

スマートジャパン 8月31日(水)7時10分配信

 「光合成」は、植物がエネルギーを生み出す仕組みで、二酸化炭素と水に光エネルギーを加えることで、酸素とエネルギー(炭水化物)を生み出すというものである。地球温暖化対策としても、再生可能エネルギーとしても、この仕組みを人工的に生み出すことへの関心は高く「人工光合成」技術の開発は各所で行われている。

 「人工光合成」技術は、光に反応する触媒などの人工物を使って光合成の現象を再現しようというものだが、全く異なるアプローチで開発されたのが、今回の“人工の葉”を実現する技術である。ロンドンを拠点とする、デザインエンジニアであり、生物工学研究者および起業家であるジュリアン・メルキオーリ(Julian Melchiorri)氏は、絹素材に植物の葉緑体を定着させ光合成を行える“人工の葉”である「Silk Leaf(シルクリーフ)」を開発した。

●光合成をそのまま再現する「シルクリーフ」

 「シルクリーフ」は、絹のタンパク質と葉緑体などの生体物質で構成されている。絹のタンパク質内部に葉緑体を取り込み、光合成能力を維持したまま安定化する。これにより、シルクリーフ内の葉緑体が光合成を行うことで、二酸化炭素を吸収し酸素を発生させる。光合成には、自然の植物と同様に、可視光と水が必要とされる。

 葉緑体への水の提供には、自然の葉の機能を参考にした、独自の技術を組み込んでいる。水はまた、光合成により生まれる残留化学物や糖分をろ過により除去するためにも活用可能だとしている。シルクリーフの酸素発生レベルは、絹タンパク質内の葉緑体の量や材料組成などにより最適化。これらの発生効率についてはさらなる改善が見込めるという。

●シルクリーフをランプシェードとして使う

 “人工の葉”である「シルクリーフ」だが、特徴としては以下の3つがある。


1. CO2の吸収と酸素の発生
2. 低エネルギー消費
3. モジュールでの提供

 これらの特徴から、シルクリーフはさまざまな環境や用途で利用することが可能である。例えば、換気システムの中で利用したり、インテリアの表面であったり、ランプシェードなど照明と一緒に使ったりすることができる。さらに宇宙空間でも太陽光と水で酸素を生み出すことができるため、宇宙探査などでも利用できるとしている。

 メルキオール氏は、持続可能な社会を実現するために生物学的反応性材料の研究を進め、都市環境や屋内環境の改善につなげていく方針を示している。

最終更新:8月31日(水)7時10分

スマートジャパン