ここから本文です

「爆買い」どうなった? 訪日「中国人」観光客の変化、新たな人気旅行先ランキングとは

ZUU online 8月31日(水)11時10分配信

訪日中国人観光客の変化が大きな話題を呼んでいる。実際に大きな影響を被った日本企業も多い。今後もさまざまな波紋を描いていくことになりそうだ。日本への嗜好が変化した、と捉えるだけでは不足で、中国人そのものの変化に踏み込むことが必要だろう。とはいえ、まずは現状から検証していこう。

■爆買いの変化は急速

中国のネット辞書にも「爆買い」はある。ただし初出から7回更新されただけ、それも2016年1月16日が最終更新である。日本で騒がれた言葉の解説として載せたものの、もはや誰も関心はなさそうだ。内容は2015年の分析である。中から面白い表現を拾って見ると、

「近年、海外での買い物は、80后・90后にとって生活潮流の1つとなっている」
(80后、90后はそれぞれ1980年代生まれ、90年代生まれ)
「2014年までの温水洗浄便座から、2015年には、感冒薬、メガネ、アイマスク、文具、ベビー用品などに変化した」
「日本の大型ショッピングセンターでは商品の20~30%が中国製、小さな日用品店では80%が中国製というケースさえある。我々は中国製品の運搬夫をしているだけではないか。」
「日本製品には独特の吸引力がある。消費者重視の設計、またサービスにおいては“上帝”の扱いを享受できる」

などだが、すでに古臭い表現ばかりだ。変化のスピードはとても早い。

■安泰なのは日用品

代表的なインバウンド銘柄、ドン・キホーテホールディングス <7532> は、8月18日の記者会見で「インバウンド消費は変わらず堅調、今後もシェア拡大と売上増を見込む。」と述べた。需要に合わせ、品揃えの強弱をつけていく。これはブランド時計・バッグから電化製品、日用品、食品、医薬品まで幅広く品揃えしているからできることだ。高級品に特化した百貨店や、家電量販店には真似できない。

当然メーカーも真似できない。電気炊飯器、ステンレスボトルで長年インバウンド需要をけん引した象印 <7965> は、昨年秋からすでに免税売上高は前年割れだった。

変化のない商品群もある。中国では、化粧品や美容グッズ、シャンプー歯磨きなどの日用の買回り品は大変高価だ。昨年、中韓FTAが発効し、韓国産化粧品の税率は低下した。しかしそれだけでは不足で、日本製を何とか安価で手に入れたい。ドン・キホーテもリピート客への便宜を打ち出した。これらのセグメントは日本商品の砦として最後まで残るだろう。

■商品から体験型へシフト

訪日中国人客は、リピーター比率と、北京・上海・広東省の先進地区住民の比率が高い。旅慣れた彼らは同じモノは買わない。最先端の流行商品を探し、手に入れ、紹介する先導役を自認するハンターである。

そんな中国人の1人は訪日中国人の昨今の行動について、観念や求める品質が変わったと表現した。深化していると言いたいようだ。筆者周辺の実例を紹介しよう。

ある金持ちのグループは、ミシュランに掲載された日本レストランを制覇するプランに取り組んだ。京都の祇園祭りに合わせて来日し、ミシュラン掲載店の懐石料理を楽しむ。あっさりした懐石料理の思想は中華料理の対極だが、それもよく理解した上でのことだ。

また別の金持ちは一家3人だけで、わざわざ大型観光バスをチャーターし、東京から鬼怒川温泉へ移動した。費用は片道1万3500円だった。東京ではあちこちの有名料理店やケーキ屋を探索し、注文した商品を1つ残らずSNSへ写真をアップしている。

中産階級クラスの日本旅行も食べ物、体験中心になっている。例えば福岡本社のとんこつラーメン「一蘭」は、日本有数のおいしいラーメン店として、複数のグループによりSNSに取り上げられている。

京都では公共交通機関を使って「自由行」を楽しむ人が多い。中国語であらゆる情報がアップされ、カンのよい人なら不自由しない。

■2017年の見通し、スーパースプレッダーに期待

以上のように2016年は商品購入から、料理屋または自由行を極める方向へ変化した。2017年は、仕掛ける側も含め、よりマニアックになるだろう。

例えばネット上ではさまざまな旅行会社や個人、団体が、日本10大美観、10大観光地などと称して独自ランキングをアップしている。以下2例を挙げる。

「小憩旅游」によるランキング

1.大歩危・小歩危
2.嵯峨野竹林
3.清水寺
4. 渡月橋
5. なばなの里
6. 浜松フラワーパーク
7. 寸又峡吊り橋
8. 白糸の滝
9. 白川郷
10. 上高地

「洲宜旅游」によるランキング

1. 伏見稲荷大社
2. 東京大学
3. 厳島神社
4. 東大寺
5. 禅林寺永観堂
6. 地獄谷野猿公苑
7. 高野山奥の院
8. 武士剣舞劇場
9. 沖縄ちゅら海水族館
10. 箱根彫刻の森美術館

など非常に独自色が強い。日本人から見れば大いに疑問でも、これらはSNSを通じて個人レベルへ拡散する。そして実際に訪問する人も多く、強力な販促ツールとして作用している。

現在では、中国のSNSに情報発信をしてくれるサービスもある。これを利用した、商品、観光地、アミューズメントの宣伝はますます盛んになるだろう。ただしそこから先は今のところ神頼みだ。

医学の世界では他人に感染させやすい人、いわゆる「スーパースプレッダー」は全体の20%だという。その20%の人で感染の80%以上を担う。おそらく中国の口コミマーケティングの世界でも同じような比率ではないだろうか。もしこの部分までコントロールできれば、ラーメン店「一蘭」のように、確実に勝利できるだろう。(高野悠介、現地在住の貿易コンサルタント)

最終更新:8月31日(水)11時10分

ZUU online

チャート

ドンキホーテホールディングス7532
3685円、前日比-25円 - 9月30日 15時0分

チャート

象印マホービン7965
1642円、前日比+33円 - 9月30日 15時0分