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今夏清武を“発掘”したセビージャ、敏腕SDモンチの補強メソッドとは?

GOAL 8月31日(水)18時41分配信

今夏日本代表MF清武弘嗣を獲得したセビージャは、近年ヨーロッパで強豪クラブとしての地位を確立しつつある。その原動力となっているのが、敏腕SD(スポーツディレクター)モンチ氏の存在だ。

スペイン『エル・パイス』は昨年、そのモンチ氏の特集を行っていた。モンチ氏がセビージャのSDに就任したのは2000年のこと。「セビージャはひどいクラブだった。私がすべてをやらなければいけなかった。その時の会長だったロベルト・アレスが私にSDをやれと言ってきた。SDのことなんて、何も知らなかった。それも、減俸を覚悟しなけれいけなかったんだよ」とモンチ氏は当時を振り返る。

モンチSDの最初の仕事は、グラナダからGKアントニオ・ノタリオを獲得することだった。それからDFガブリエル・メルカード(今夏獲得)に至るまで、様々な選手を手中に収めてきた。「セビージャは大きく変わった。今ではタイトルを争えるようなクラブになった。ロベルト・アレスが基礎を築き、(2002年から2013年まで会長を務めた)デル・ニドがクラブを会社のように仕立て上げてくれた」。モンチSDはクラブの成長をそう語る。

セビージャは現代のサッカー界において手本となるようなクラブだ。スペインの失業率は高く、市内のソシオ数(クラブ会員)は3万人に満たない。巨額の出資をしてくれる投資家もいない。ポルトガルのポルトを除き、セビージャのようなクラブはほかに見当たらない。クラブはセビジスタ(セビージャ主義・セビージャファン)のものであり、それが彼ら自身の誇りとなっている。

一方で、モンチSDは<クラブ成長のために選手を売却する>というクラブに貼られたレッテルを否定している。「実際はそうではない。可能性を最大限にするために、選手を売却するんだ。確かに我々は売り手のクラブだ。クラブの定期収入だけでは、我々が現在到達した地点に到達するのは不可能だっただろう。ただ選手を売るのではない。可能性を膨らませるために、剰余価値を作り出す。だがそうしたとしても、成功が保証されるわけではない」。これが“モンチ流”なのである。

モンチSDの手腕は図抜けている。2003年にバイーアから移籍金150万ユーロで獲得したDFダニエウ・アウベス(現ユヴェントス)を2008年に移籍金総額4000万ユーロでバルセロナに売却。03年にサンパウロから250万ユーロで獲得したジュリオ・バチスタは05年に2500万ユーロでアーセナルへと渡った。2014年にはDFアルベルト・モレノを1800万ユーロでリヴァプールに売却し、その代役に300万ユーロでベノワ・トレムリナスを獲得して穴を補った。

それでも、モンチSDは「失敗もある」と認めている。「移籍の背景に多大な労力が隠されているのは事実だ。一方で、時には運が必要になる。剰余価値が生まれなければ、どうなる? 当然、我々は苦しむ」。一方で「2001年以降、我々がリーガエスパニョーラで10位以下になったことはない」とプライドをのぞかせた。

モンチSDはセビージャのスカウティングをこのように明かしている。「(スカウトに従事しているのは)16人。毎日、少なくとも5人の代理人と話し合っている。それぞれのリーグ戦に専門家を置き、情報を得ては毎月独自のベストイレブンを選定する。イラリア、フランス、オーストリア、ポーランド、ドイツなどのベストイレブンをね」。さらに、次のように続けた。

「その11人の中から、我々はさらに追跡したい選手を選ぶ。7人のスタッフがその選手を追跡することをノルマとして、その次に各ポジションに8選手から10選手を配置する。それからA~Eのランク付けだ。Aはすぐにでも獲得するべき選手、Bは関心度の高い選手、Cは追い続けるべき選手、Dは不要な選手、Eは問題外だ。Aランクを多く付けられた選手、例えばクリホヴィアク(現パリ・サンジェルマン)だが、そういった選手に対しては即座に獲得に動く」

セビージャは選手を4つの観点から分析する。経済面(年俸など)、戦術面(戦術理解力やチームに適応するかどうか)、技術面(テクニックや個人能力)、人間性だ。「正せないような振る舞いをする選手は獲得しないよ」とモンチ氏は語る。「一船の船のように動くのであればクラブは干渉しない」とのことだ。

この夏には、バルセロナやレアル・マドリーなどがモンチSDの入閣を画策した。「もちろん、私は非常に消耗している。どれだけ電池が残っているかは分からないね...。いつかセビージャを去る日が訪れるだろう」。しかし、行き先はビッグクラブとは限らないかもしれない。「(ビッグクラブでは)資金には事欠かないだろう。だが選手獲得は即座に利益をもたらすものでなければいけない。例えば、セビージャがバイーアからアウベスを獲得して成長させたような真似は、レアル・マドリーでは不可能だ。そんなに簡単だと思わないでほしいね」。今後もモンチSDとセビージャから、目が離せなさそうだ。

GOAL

最終更新:8月31日(水)18時41分

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