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財布不要の社会が来る?買い物、防犯、娯楽……顔認証が変えるものとは

ZUU online 8月31日(水)19時10分配信

顔パスやツケといえば、「信用のある常連さんが使うもの」というイメージはないだろうか。デジタル技術で、万人が使えるようになる時代がすぐそこまで来ている。

■顔認証で個人識別 その精度は地球で「ただ一人」を割り出せるレベル

近年、指紋認証や虹彩認証などといった身体的特徴や行動的特徴を用いて、個人を特定する生体認証の技術が急速に向上している。なかでも専用機器が不要で、非接触での効率的な認証が可能という理由で、さまざまな分野で実用化されつつあり、注目を集めているのが顔認証技術だ。

入館システムなど、日常に根差した場面で顔認証を行うには、一度に大人数の顔を認識して素早く処理する必要がある。対象は常になんらかの動作をしていることが自然で、正面を向いているとは限らない。条件が一定でない状況でも顔認証が可能になり、その精度は既に実用レベルにまで達してる。

■顔認証 de 入館 コンサート会場でもスイスイ快適入場

NEC <6701> は歩きながら顔認証ができる「ウォークスルー顔認証システム」の実証実験を、2016 年4~8月の5カ月間にわたって実施している。対象は同社の社員約1000人で、東京・三田の本社ビル社員用入退出ゲートにカメラを設置して、出勤・退社時に顔認証を行うというものだ。同システムは、認証精度99.7%以上で世界最高水準の性能を誇っている。

コンサート会場での入場管理にも、顔認証技術が活用されている。2015年12月にさいたまスーパーアリーナで開催された、ももいろクローバーZのコンサートでは、チケット転売防止の目的で、顔認証技システムが導入された。顔認証による本人確認は、浜田省吾やB’z、福山雅治などのライブでもすでに採用されている。混雑した会場での入場もスムーズにできるため、嵐など今後顔認証システムを採用する予定のアーティストもいる。

■ 顔認証 de 決済 FinTechの加速とともに開発も進む

金融とITの融合である「フィンテック」の分野でも顔認証技術が注目されている。

三井住友フィナンシャルグループ <8316> は、顔認証による決済サービス実用化に向けた検討を進めている。2017年には小売店での実証実験を開始し、数年以内の実用化を目指す。同サービスでは、目や鼻といった顔のパーツの位置や大きさなどを読み取り、個人の特定を行う。顔認証をクレジットカードや銀行口座の個人認証に活用することで、消費者は現金やカードを持たず「顔パス」での買い物が可能となる。

前述の高性能の顔認証システムを持つNECも、本社ビル内の売店で2016年6~8月の2カ月間、同様の実証実験を行っている。そのほかにも広島銀行 <8379> も本店ビル内の食堂で2016年2月からの2カ月間、実証実験を行った。2社ともに実験対象は社員・行員に限定したが、今後の実用化に向けた運用ノウハウを蓄積している。

■手ぶら文化も進む? 顔認証のある世界とは

顔認証技術の活用により顔パスが実現することにより、生活の様々な場面で利便性が向上するだろう。スポーツクラブなど会員制の施設では、手ぶらでの利用が可能になるほか、現金の引き出しも暗証番号やカードなしで行える。サービスや店舗でキャッシュレス決済が可能となれば、財布やカード、そのほか決済端末の持ち運びが不要となり、災害時にも現金が引き出せる。

防犯・セキュリティレベルも、顔認証技術の活用で格段に向上するだろう。顔認証技術は、スマートフォンやパソコンの生体認証にはすでに使用されているが、指紋認証などに比べると3次元で立体的に識別されるため、偽造が難しいとされている。盗難やハッキングの恐れもないため、カードや暗証番号に比べて安全性が高いため、オフィスなどの入退室管理や空港などのセキュリティへの応用も検討されている。

東京五輪を控える2020年までには、全国の主要空港に顔認証による、本人確認のシステムが導入される予定だ。日本人の出入国審査を無人化し、訪日外国人向けの入国審査官を増員。テロ対策の強化と出入国審査の時間短縮に繋げる考えだ。

■「徘徊老人」「夜行バス運転手の過剰労働」など社会問題解決にも期待

企業やサービス提供者は、顔認証技術の向上で利益拡大や業務効率化への期待が高まる。すでに商業分野では実用化されており、遊園地などの施設での顧客管理、商品や広告の注目度の数値化に活用されてきた。管理の精度が向上すれば、更なる利益拡大が見込めるというわけだ。

ほかにも、介護施設での認知症患者など見守り対象者の検知、夜行バスの運転手や企業の従業員の居眠りや体調悪化の把握が、自動で行われるようになる。近年問題になっていた夜行バス運転手の過剰労働なども、システムで見える化することで解消できる可能性があるのだ。

■日本が誇る世界最高技術が五輪を守る

顔パス社会の実現には、高精度の顔認証技術が不可欠だ。リオ五輪・パラリンピックで、は空港での出入国管理や、記者会見場での入場チェックで活用されたが、採用されたのは前述のNECの顔認証技術だ。

同社の技術は、米国国立標準技術研究所(NIST)によるベンチマークテストで、参加した全3回で世界一を記録しているほどの高性能だ。2013年テストでの照合率は97%、検索速度は1秒当たり302万人であった。更には最新アルゴリズムをノートPC(Intel Core i7 2.7GHz、8スレッドでの並列処理)に移植して同社独自の検証したところ、1秒当たり3300万件の検索が可能であったと公表されている。この技術を活用すれば、3秒ほどで約1億件の検索ができるのだ。

東京五輪・パラリンピックに向けて、利便性・セキュリティ向上に向けた環境整備が、都市部を中心に加速するはずだ。その流れに後押しされて、顔パス社会が実現する日も遠くないだろう。(ZUU online編集部)

最終更新:8月31日(水)19時10分

ZUU online

チャート

NEC6701
259円、前日比-7円 - 9月30日 15時0分

チャート

三井住友フィナンシャルグループ8316
3380円、前日比-52円 - 9月30日 15時0分

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広島銀行8379
416円、前日比-21円 - 9月30日 15時0分

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