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【インタビューVol.3/5】ウリ・ジョン・ロートとスコーピオンズ

BARKS 9/5(月) 16:02配信

ハード・ロック・ギターの現人神、ウリ・ジョン・ロートが8月31日、映像作品/CD『トーキョー・テープス・リヴィジテッド~ウリ・ジョン・ロート・ライヴ・アット・中野サンプラザ』を発表した。ウリが世界にそのギターの腕前を轟かす契機となったのはスコーピオンズだ。ドイツ出身のロック・バンドとしては初の世界制圧を成し遂げ、1978年の来日をとらえた『蠍団爆発!!スコーピオンズ・ライヴ/Tokyo Tapes』は“中野サンプラザ”の名を世界に拡げることとなった。ウリへのインタビュー全5回の第3回は、彼のスコーピオンズ時代の秘話について訊く。

◆ウリ・ジョン・ロート画像

──スコーピオンズ時代のアルバム・アートワークなどヴィジュアル・イメージに関しては、どの程度関わっていましたか?

ウリ・ジョン・ロート:基本的にメンバー全員が深く関わっていたよ。ルドルフとクラウス、私は良いチームだった。フランシス・ブッフホルツやルディ・レナーズからのインプットもあった。もしバンドの誰かが「このジャケットはやり過ぎだ。止めよう」と主張したら、どのアルバム・ジャケットもボツになっていただろう。でも我々はそうしなかった。

──あなたが在籍した時期のアートワークで一番好きなもの、嫌いなものはどれですか?

ウリ・ジョン・ロート:好きなものはない。どれも酷い出来だよ。でも当時、私はアルバム・ジャケットには大した意味なんかない、大事なのは音楽だと考えていたんだ。今だったら全力で却下しているだろうね。私も若かったっし、判断力が眠っていたんだ。そんな中で強いていえば、『復讐の蠍団/イン・トランス』(1975)はそんなに悪くないかも知れない。

──『復讐の蠍団/イン・トランス』はアメリカ盤だと女性の露わになった胸がカットされていますね。

ウリ・ジョン・ロート:アメリカではジャケットの規制が厳しいからね。ヨーロッパでは特に問題なかったよ。日本ではどうだったの?

──日本でもオリジナル・デザインで発売されました。一番好きでないジャケットを挙げるとしたら、どれになるでしょうか?

ウリ・ジョン・ロート:『電撃の蠍団/フライ・トゥ・ザ・レインボウ』(1974)かな。ルドルフに「…これは酷いよ!」と言ったのを覚えている。『フライ・トゥ・ザ・レインボウ』ジャケットの唯一良いところは、サインをしやすいことだな。他のアルバムのジャケットはダークな色合いだから銀色のペンが必要だけど、これだけは黒ペンでも大丈夫なんだ。

──『フライ・トゥ・ザ・レインボウ』以外、あなたが在籍時のスコーピオンズのアルバムは全タイトルがジャケット変更を余儀なくされていますが、それはインパクトを狙ったものだったのでしょうか?

ウリ・ジョン・ロート:うん、そうだ。結果として、良くない意味でのインパクトを残したけどね。『狂熱の蠍団/ヴァージン・キラー』(1976)のジャケットは酷かった。当時はまだ社会の規制や検閲が大きな問題になる前の時代だったけど、本当に酷いと思った。ただ、それが功を奏したのか、『ヴァージン・キラー』はスコーピオンズにとって初めて日本でゴールド・アルバムになったんだ。既に次のアルバムである『テイクン・バイ・フォース』が発売されているのに、日本ではみんな『ヴァージン・キラー』の話題をしていたからね。ヨーロッパでは基本的にどのジャケットもそのまま発売されたけど、『暴虐の蠍団/テイクン・バイ・フォース』(1977)だけ引っかかったんだよね。子供たちが墓地で撃ち合っているデザインは戦争を戯画化していて、それほど大きな問題だと思わなかった。

──ところで「スピーディーズ・カミング」の歌詞はクラウス・マイネが書いたものですが、数あるロック・スターを差し置いて、何故アリス・クーパー、リンゴ・スター、デヴィッド・ボウイの名前を挙げているのでしょうか?

ウリ・ジョン・ロート:私は少年時代からザ・ビートルズのファンだったけど、リンゴよりジョン・レノンやポール・マッカートニーが書く曲の方が好きだったな。クラウスは私と同じく、大のビートルズ・ファンだった。何故ジョンやポールでなくリンゴの名前を挙げたのか、私にはわからない。あの歌詞を書いたとき、彼の頭の中にはリンゴのファンの女の子がイメージされていたのかも知れないね。デヴィッド・ボウイは興味深い個性を持ったキャラクターだったけど、あまり私の胸に響く曲は書いていなかった。もちろん『ステイション・トゥ・ステイション』のように強力なアルバムを作っていたし、世界中のファンから愛されてきたのも納得だよ。

──スコーピオンズのソングライティングは、あなたが単独で作曲、あるいはルドルフ・シェンカーとクラウス・マイネが共作という2パターンで行われていましたが、実際はどのようなものでしたか?

ウリ・ジョン・ロート:最初はみんなで集まって曲を書いていたんだ。「炎を求めて」みたいに、ルドルフと私が共作した曲もあった。でも徐々にソングライティングのスタイルが異なったものになっていったんだ。ルドルフとクラウスはよりコマーシャルな音を志向していたし、私はよりストレンジな方向に向かっていった。

──徐々にあなたは自分で書いた曲を自分で歌うようになりましたが、バンド内で孤立していったのでしょうか?

ウリ・ジョン・ロート:いや、全然そういうことはなかった。私たちはひとつのチームであり、ファミリーだったよ。スコーピオンズは異なったスタイルが同居したバンドだったし、聴く人に予想をさせない多様性が個性となっていたんだ。私が抜けた後、スコーピオンズはよりワン・カラーなバンドになって、まずメロディを優先、ギターは後ろに引っ込んだと思う。でも彼らは強力なソングライティング・チームとして世界的な成功を得たわけだし、批判するつもりはまったくないよ。

──1978年にスコーピオンズを脱退したのには、どんな背景があったのですか?

ウリ・ジョン・ロート:スコーピオンズでは自由にやっていたけど、どうしてもあのバンドで自分が弾くことをイメージ出来ない音楽があった。自分の音楽をやりたいという欲求が徐々に大きくなっていって、バンドを脱退することが最も自然な成り行きになったんだ。ただ、バンド内にわだかまりはなかったし、私が抜けた後も、ずっと友達付き合いをしている。彼らはスコーピオンズを“売れるバンド”にすることを最優先事項にして、それを成し遂げた。それは本当に凄いことだし、尊敬に値するよ。一方、私が結成したエレクトリック・サンは、売れることを考えていなかった。自分の求める音楽を、妥協することなく表現するためのバンドだったんだ。それからソロ活動、現在に至るまで、私は幸せなキャリアを過ごすことができたと思うね。

取材・文:山崎智之
Photo by Emily Muraki

ウリ・ジョン・ロート『トーキョー・テープス・リヴィジテッド~ウリ・ジョン・ロート・ライヴ・アット・中野サンプラザ』
2016年8月31日 発売
【500セット通販限定スーパー・プレミアムBlu-ray or DVDボックス】¥18,000+税
【初回限定盤Blu-ray+2CD】¥7,800+税
【初回限定盤DVD+2CD】¥6,800+税
【通常盤Blu-ray】¥6,000+税
【通常盤DVD】¥5,000+税
2015年2月20日 中野サンプラザ
1.オール・ナイト・ロング
2.炎を求めて
3.クライング・デイズ
4.カロンの渡し守
5.サン・イン・マイ・ハンド
6.ヴァージン・キラー
7.荒城の月
8.空を燃やせ
9.イン・トランス
10.レインボー・ドリーム・プレリュード
11.フライ・トゥ・ザ・レインボウ
12.トップ・オブ・ザ・ビル
13.自由への叫び
14.暗黒の極限
15.ダーク・レディ
16.幻の肖像
17.キャッチ・ユア・トレイン
18.見張塔からずっと
19.リトル・ウィング
2015年2月19日 名古屋ボトムライン
1.オール・ナイト・ロング
2.炎を求めて
3.クライング・デイズ
4.カロンの渡し守
5.サン・イン・マイ・ハンド
6.ヴァージン・キラー
7.荒城の月
8.空を燃やせ
9.イン・トランス
10.レインボー・ドリーム・プレリュード
11.フライ・トゥ・ザ・レインボウ
12.トップ・オブ・ザ・ビル
13.自由への叫び
14.暗黒の極限
15.ダーク・レディ
16.幻の肖像
17.キャッチ・ユア・トレイン
18.見張塔からずっと
19.リトル・ウィング
2015年2月22日 梅田クラブクアトロ
1.オール・ナイト・ロング
2.炎を求めて
3.クライング・デイズ
4.カロンの渡し守
5.サン・イン・マイ・ハンド
6.ヴァージン・キラー
7.空を燃やせ
8.イン・トランス
9.レインボー・ドリーム・プレリュード
10.フライ・トゥ・ザ・レインボウ
11.トップ・オブ・ザ・ビル
12.イエロー・レイヴン
13.自由への叫び
14.暗黒の極限
15.ダーク・レディ
16.荒城の月
17.幻の肖像
18.キャッチ・ユア・トレイン
19.ヘルキャット
20.見張塔からずっと
21.もしも もしも
22.リトル・ウィング

最終更新:9/5(月) 16:02

BARKS

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