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派遣社員の「通勤手当」時給に上乗せされ、非課税にならないケースも…控除は可能?

税理士ドットコム 8/31(水) 10:05配信

正社員やパートなど、直接雇用では当たり前のように支給されている通勤費だが、派遣社員への支給率は極めて低い。

東京都産業労働局が通勤費の支給率を調べたところ、正社員は97.1%、パートは88.5%だった(2013年度)。一方、日本人材派遣協会が1万人を対象に行った「派遣スタッフWebアンケート」(2012年)によると、通勤手当が別途支給されている派遣労働者は22.2%しかいなかった。

通勤費が時給に上乗せされている場合もあるが、給与として一括で支給されてしまうと、通勤費が非課税にならないという。であれば、確定申告で経費として控除してもらうことはできるのだろうか。島田弘大税理士に聞いた。

●一部「経費」と認められる可能性はあるが、全額を控除できるわけではない

まずは派遣労働者の交通費が非課税にならない仕組みから説明しましょう。所得税法では、給与所得者が「通常の給与に加算して」支給されている通勤手当について、一定の限度額までは所得税が課税されません。

しかし、派遣社員によくある、通勤費も時給に含めて「一括で支給」されている場合は、「通常の給与に加算して」支給されているものではないとして、通勤手当の非課税規定は適用されず、全額課税対象になると解されています。

では、自己負担した通勤費を確定申告で「経費」として所得控除できるのでしょうか。結論としては、一部できる可能性がありますが、現実的にはできないケースも多く出てくると考えられます。

通勤費は「特定支出」になるのですが、給与所得者の特定支出の合計額が基準額(年収300万円の場合は54万円)を超えるときは、超えた部分の金額を経費として所得控除できます(給与所得者の特定支出控除)。たとえば、年収300万円で通勤費も含めた特定支出の合計額が60万円の給与所得者の場合、控除できるのは基準額を超えた6万円(60万円 − 基準額54万円)となります。

この制度を適用するには、給与支払者による証明書の添付が必要です。証明書があれば、派遣社員に限らず、別途交通費が支給されていない正社員やパートでも同じように利用できます。

以上の通り、派遣社員のように通勤費も含めて時給で支払われている場合は、確定申告により一定額を経費として所得控除できる可能性があります。しかし、証明書を入手しなければならない点や、基準金額を超えなければならない点を鑑みると、現実的には利用できないケースも多いのではないかと考えられます。また、利用できたとしても全額を所得控除できるわけではありません。給与所得者間の格差是正を、税制の観点から検討することも重要ではないでしょうか。

【取材協力税理士】

島田弘大(しまだ・こうた)税理士

早稲田大学商学部卒業。大手税理士法人、外資系証券会社を経て、シンガポールに移住。現地の会計事務所で日系企業の現地法人設立や海外進出支援、国際税務コンサルティングに従事。現在は主に中小企業・個人事業主に対して、国内税務に加えて国際税務顧問を行っている。

事務所名   : 島田&アソシエイツ国際税理士事務所

事務所URL: http://shimada-associates.com/

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:8/31(水) 10:05

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