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岡山県庁舎から最後の音色響く 「ミュージックサイレン」引退

山陽新聞デジタル 8月31日(水)23時43分配信

 遠き山に日は落ちて―。岡山県庁(岡山市北区内山下)の「ミュージックサイレン」が31日、最後の曲を奏で、役割を終えた。故三木行治知事(1903~64年)の提案で現庁舎が完成した57(昭和32)年に設置され、60年近くにわたり屋上から時報代わりにクラシックの旋律を届けてきた。しかし、メーカーのメンテナンス期間が終わるため停止。親しんできた人たちが足を止め、拍手で別れを惜しんだ。

 午後5時ごろ、いつものドボルザークの「家路」が流れると、県庁や県立図書館(同丸の内)の前に人だかりができ、涙ぐむ人も。思い出の音を心に刻むため足を運んだ同市南区、男性(68)は「この近くの中学に通っていたころ、いつも聞いていた。一つの時代の終わりを感じる」と話した。

 故三木知事ゆかりの三木記念賞授与式が行われたルネスホール(同市北区内山下)では、式後に出席者が屋外に出て静かに耳を傾けていた。

 県庁のミュージックサイレンは91年に更新され、2代目。夕方のほか、正午はシューベルトの「菩提(ぼだい)樹」を流し、半径2~4キロまで響かせてきた。開発したヤマハ(浜松市)は既に部品製造を中止しており、9月以降はメンテナンスからも撤退する。

 全盛期の昭和30~40年代には全国で約200台使用されていた。近隣の騒音問題なども持ち上がり、次第に減り、県庁と同機種を使っている自治体は愛媛県八幡浜市のみとなる。

 岡山県財産活用課は「最近は止まることもあり、混乱を避けるため終了を決めた。理解してほしい」としている。ミュージックサイレンの旋律は同課ホームページで公開している。

最終更新:9月1日(木)10時24分

山陽新聞デジタル