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越境EC本格始動、海外進出より身近に

健康産業新聞 8月31日(水)17時54分配信

 本格的に動き始めた越境EC(電子商取引)市場。その背景には円建て決済システムの充実など、環境整備が進んだことがある。健康食品・化粧品分野では大手を中心にすでに動き始めているが、中小企業・地方経済の活性化にどこまで寄与できるかはこれからの課題だ。中小機構も補助金交付を始めている。越境EC市場の動きを追った。

■海外進出の新たな手法に

 インターネットを利用して海外の消費者に直接商品を販売できる越境EC。集客、物流、決済のすべてが日本国内で完結するため、業務負担が少なく、海外進出の新しい方法としても注目されている。

 一般メディアでは中国の大手ネット通販モールである「天猫国際(T-Mall)」や「京東(JD)」が話題に上る。健康食品業界においても、「今秋から来年初めを目標に大手数社が(モール進出の)準備を進めている」(越境ECサポート企業幹部)という。

 ある化粧品メーカーではT-Mallで2店舗を運営しており「11月11日(独身の日)商戦に向けた準備に忙しい」(同社役員)という。

 毎年11月11日には中国で爆発的な売上がある。一部に「売上は大きいが、利益は少ない」との声もあるが、同社役員によれば、「利益は確保できる。売上だけにとらわれない価格設定が重要」と話す。

■モール出店か、自社サイト構築か

 上記の例はいずれもモールへの「出店」であるが、モールに「出品」するという方法もある。モール内に自社店舗を出すのが出店、共同店舗に棚を借りるのが出品だ。

 モール自体への集客が確保されているのは利点だが、出店のための保証金や、多くの競合品の中で埋もれないための広告費などは安くはない。大手でも読みを間違えれば失敗する例もあり、中小企業の場合にはなおのこと、事前の情報収集や計画を確実にする必要がある。

 一方、モール以外の選択肢としては、自社サイト構築という方法がある。

 自社サイト方式では、まず外国語対応のサイトを作り、そこへ集客し、決済する、ということになる。今年に入り、海外のブロガーやリスティング広告を利用した集客サービスが充実し、決済も現地消費者との間で円建てでできるようになっている。モールへの出店に比べると、サイト構築にかかる初期投資が低いため、その分を追加の広告費に充当できるという利点があるが、集客はゼロから行う必要がある。

 モールを活用するにしても、自社サイトを構築するにしても、それぞれにメリットとリスクがあるが、海外進出への障壁が下がっていることは確かだ。インターネットそのものには国境はなく、「まずは販売してみて、反応のよい市場で本格進出する」といった、テストマーケティングの手法としても注目されている。

 物流コストが比較的安く、日本商品としての強みを活かせる市場としては、中国、台湾、東南アジアが有力市場だ。越境ECサポート各社は円建て決済のほか、サイト上の言語や現地からの問い合わせ、海外発送、通関手続きにも対応しており、「業務上の負担は最小限に抑えられる」という。

■中小企業に支援も

 現在、中小企業基盤整備機構(中小機構)は、「海外への販路開拓を促し、我が国経済の活性化を図る」として、中小企業の越境EC新規参入に対して、上限100万円の補助金を交付している。

 中小機構は、補助金の交付に加えて、全国でセミナー等の情報発信を行っている。先月25日、都内で開催された「越境ECフェスティバル」では、来場者が会場を埋め尽くす盛況ぶりで、「全国で繰り返し開催しているが、毎回来場者が目に見えて増えている」(関係者)という。

 今後、この市場がどこまで成長するかは未知数。「ひとつの指標として、2020年でどこまで出揃っているか」との見方もある。「軌道に乗るための時間を2・3年と考えた場合、今年から来年にかけての進出が鍵となる」という。

健康産業新聞

最終更新:8月31日(水)17時54分

健康産業新聞